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里山の子、さっちゃん EP:10「巡るいのち」

やってくる猫たちを分けへだてなく可愛がってくれた先輩猫たち。 いのちのバトンを受け継いで、里山の子は元気に生きていきます。 里山のムードメーカーだった三毛猫のレモンおばさんが旅立ったのは、里にコスモスが咲き乱れる季節。 元は、海辺の公園に捨てられていた子猫。さびしがり屋で、ごはんをくれる人の足にまとわりついて離れなかったため、ダムに連れてこられたのでした。 陽だまりのような穏やかな性格で、新入り子猫がやってくると、さりげなく散歩に付き添ったり、安心させるかのように寄り添ったり。どの猫からも慕われていました ...

とことん猫に向き合う〝かんばん猫〟ドラマ誕生!

〝ニャンニャンニャンの日〟(2022年2月22日)に、BSテレ東にて一挙4話放映されるドラマ「かんばん猫」。かんばん猫がいる実際の店舗を雑誌記者の高橋小梅が取材に訪れ、それぞれのエピソードを知れば知るほど猫の魅力にハマっていく姿を描きます。本作の主人公・小梅を演じる小西桜子さんから、自身の猫との思い出や、現在実家で暮らす2匹の兄妹猫たち、ドラマへの思いなどをお聞きしました。 「最初の猫との記憶は、まだ自分が幼児の頃だと思います。その頃家には初代の猫がいたんですが、自分よりずっと長く家にいて、しかも体も大き ...

猫小説『佐々木テンコ』第3章「プが、いなくなった」

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 実話を元にした猫小説、連載第4回。売り手が見つからなくて、きょうだいと一緒に捨てられた?――そう推測した夫婦は、保護した猫「テンコ」を正式に迎えることに…。   朝。お昼。夕方。夜。真夜中。これがグルリとまわることを「一日」っていうらしい。 そして一日が七回まわると、「一週間」。   わたしがこの家に来たときは、ちょうど「お盆休み」のすこしまえだったよう。ランもプも、 「お盆休み前でよかった。 ...

里山の子、さっちゃん EP:9「サチとゴロー」

さっちゃんを見つけるとすぐにかけ寄りスリンとするゴローくん。 甘えたいのか、守りたいのか、とにかくさっちゃんが大好きのよう。 「あ、さっちゃんだ!」 遊びに夢中になっていても、遠くにいても、さっちゃんを見つけるや、ゴローくんは飛んでいきます。さっちゃんのあごの下に、頭をさしこんで、スリ、スリ、スリン。 あれ、さっちゃんがコケちゃた。しまった、という表情のゴローくん。そーっとスリンしたはずなのに。でも、毎回、スリスリはやめられません。 だって、さっちゃんが大好きだから。さっちゃんをひとりぽっちにしときたくな ...

神様・仏様・お猫様 神社仏閣の猫 第12回 静岡県下田市「曹洞宗 瑞龍山 玉泉寺」

江戸時代末期、アメリカのペリー艦隊をはじめ多くの外国船が訪れた静岡県下田市。歴史ロマン漂う玉泉寺はその下田にあって、日米和親条約でアメリカ人の休息・埋葬所に指定され、後にタウンゼント・ハリスがアメリカ合衆国総領事に着任した際、総領事館が置かれた寺院である。大正時代に行われた修繕工事のため、NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一が尽力したという逸話も残る。幕末の開国の中心舞台であり、歴史に残る場所と言える。 今では静かな漁港にある山門を抜けると本堂が見え、住職の村上文樹さんとともに、猫のミーちゃん ...

第12回 愛猫CIAOちゅ~る物語「2021年食べ納めのCIAOちゅ~る写真」猫びより賞

Presented byいなばペットフード株式会社 「仲良くなるきっかけに」、「お薬を楽しく飲んでもらえるように」、「爪切りを頑張ったご褒美に♪」……など愛猫や顔なじみの猫と「CIAOちゅ~る」にまつわるエピソード&写真を毎号テーマを変えて大募集! 一緒に子育て 愛猫シマちゃんとの出会いは14年前。カラスに突かれていたところを保護しました。ベランダに来るセミに猫パンチしたり、珍しく積もった雪を触りに行ったりとおてんばな性格ですが、小学生の息子の面倒を見てくれる優しい面も。遊び相手になってくれたり、 ...

里山の子、さっちゃん EP:8「さっちゃんの 夏休み」

さっちゃんのガールフレンドは、そうちゃん。夏休みになると、家族と一緒にキャンプ場に泊まりに来ます。 夏休みの里山は、のんびりムード。長平パパや麻里子ママは変わらずいそがしいけれど、犬猫たちは、思い思いに好きな場所でくつろいでいます。 カフェのテーブルの上で昼寝しているのは、かっちゃん。昼寝場所はその日によって違って、ピザを焼く窯の前だったりします。 ハッピーは、カフェの前の石段が好き。山からの涼しい風が通り抜けるし、お客さんが来たら、おやつをおねだりできるから。 山側の緑の木陰を散策しているのは、ライムち ...

ネコのとなりに [第12回]行列の卵炒飯(チャーハン)

ネコは身近な動物で、ヒトの社会の中で暮らしています。そのため野生動物とは異なり周囲の環境も含め、ヒトがいてネコは生きていけると思うのです。ヒトとヒトの間に繋がるいのち。今を生きる友達として向き合いながら、街の中にネコのいる風景が時代は変わってもあり続けてほしいと願うばかりです。 写真・文・イラスト平井佑之介 とある島を訪れた。島に渡航する1便の船は乗客や郵便物のほか、朝刊を乗せて運ぶので朝がとっても早い。 上陸すると、ここちよい潮風に吹かれながらネコが散り散りになって寝そべっている。白黒のぶちネコと仲良く ...

猫小説『佐々木テンコ』第2章「わたしの不幸は、蜜の味」其の二

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。実話を元にした猫小説、連載第3回。街をさまよっていた猫を招き入れた夫婦は、「この猫がどこから来たのか」謎を解くことに…。 ― まだ24時間も経っていないのに とかなんとか、優しげなことを言っていたランが、 「お風呂、用意できたよ~。手伝って」と向こうのほうで声を上げている。またプに、ひょいと抱き上げられてしまった。 「この子、体が大きいというか、シッポが大きいから、犬用のお風呂を買って正解だった」と話すランに、ぬる ...

里山の子、さっちゃん EP:7「3きょうだい」

またまたやってきたのは、長毛3兄妹。 事故で亡くなった母猫の帰りを、雨の中、身を寄せ合って待っていました。 ゴローくんが、猫小屋のそばに積まれた、お風呂用の薪の上で日を浴びています。賢そうな眼をした子です。 弟は、ヒデキ。妹はヒロミ。 そう、かつてのアイドル歌手の「新御三家」からとった名前です。 兄妹は、ひと月半前に、海辺の公園からやってきたばかり。 捨て猫の名所になっている公園に捨てられた母さん猫から産まれた子です。母猫は交通事故に遭い、遺のこされた子猫たちは、冬の冷たい雨に打たれ、身を寄せ合っていたの ...

里山の子、さっちゃん EP:6「春がきた」

秋生まれのライムちゃんにとって、初めての春がやってきました。春色の里山を案内してもらいましょう。 「不思議の国のアリス」に出てくるせっかちウサギのように、とっとことっとこ菜の花の咲く野道を急ぐライムちゃんに会いました。大きくなったこと! 「ライムちゃん、どこいくの」 「春の匂いをかぎに」 そこで、ライムちゃんについていくことに。 道中、陽だまりでゴロンゴロンしているレモンおばさんに出会いました。かっちゃんは、岩の上で見張り兵みたいに座っています。ふたりとも、ダムの長老猫です。 「おばさん、こんにちは」 道 ...

里山の子、さっちゃん EP:5「赤ちゃん猫がやってきた」

生まれて間もない赤ちゃん猫がやってきました!さっそくママ役を買って出たのは、ハッピーとさっちゃんでした。 4年前の初秋のこと。生まれてまだ2週間くらいの赤ちゃん猫がダムに持ちこまれました。 ノラ母さんが戻らず、一昼夜野ざらしにされていたのです。 哺乳瓶に小さなツメを立てて、むしゃぶりつく子猫の「生きようとするチカラ」に、麻里子ママは目を見張りました。 子猫は夜更けに持ちこまれたのですが、翌日は豪雨。危機一髪でした。 その夜、子猫に添い寝してくれたのは、さっちゃん。出ないおっぱいをまさぐる子猫のために、マヒ ...

猫小説『佐々木テンコ』第2章「わたしの不幸は、蜜の味」其の一

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 実話を元にした猫小説、連載第2回。暑い暑い夏の夜、街をさまよっていた「わたし」は、ヨッパライの夫婦に家へ招き入れられ……。 家に入ってからも、足は自然と、よりヒンヤリしたほうへ向かっていく。つきあたった部屋はほんとうにヒンヤリしていて、すこし高くてひろびろとした場所には、世の中のすべてのヒンヤリを集めたかのような、テロンとした布がある。えいっと飛びのった。   なんという涼しさ! あんまりにも気もちよく ...

里山の子、さっちゃん EP:4「山猫母さんの子たち」

ふわふわの長毛を持つキジトラ兄妹、バジル、ウメ、シソ、ヨモギ。そっくりさんで麻里子ママもすぐには見分けがつきません。 さっちゃんの後も、ダムには次々と捨て猫や迷い猫が持ちこまれました。 庭に迷いこんだおうちのおばあちゃんが猫嫌いだったため、3か月の時にやってきたサバ白のイチロー。 花屋さんの店先のバケツの中にポンと入れられたままだった子猫は、ミカン。右手を骨折していて、しばらく添木を当てていましたが、ハッピーとサチがそれはよく面倒を見ました。 ハッピーが山からくわえてきた子猫のウブと、神社の軒下にひとりぼ ...

里山の子、さっちゃん EP:3「迷い犬だったハッピー」

ダムの犬猫たちのやさしいお母さんはふたり。麻里子ママと、気のいい雑種犬のハッピー母さんです。 「ハッピー!」 そう呼びたくて、ここに迎え入れた迷い犬に、麻里子ママはその名を付けました。 毎日、里山に響き渡るようにその名を呼んだら、さぞ気持ちがいいだろうと思ったから。 ハッピーがダムにやってきたのは、10年前。 捨てられたのか、迷って家に帰れなくなったのか。ある日、近くの保育園にお腹を空かせてやってきて、居候に。 2ヵ月たっても里親は見つからず、見かねた麻里子さん夫妻に引き取られました。 その半年後、さっち ...

連載小説『佐々木テンコ』

電子版絶賛配信中! 佐々木テンコは猫ですよ (Kindle版) 猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 暑い夏の夜、街をさまよっていた「わたし」はヨッパライの夫婦に家へ招き入れられ……。 猫の視点で語られる、実話を元にした“家族”の物語。 猫びよりプラスで好評を博した連載小説の改訂版が電子書籍化! 本書の売上の一部は、猫の保護活動に寄付されます。 猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 猫の名は「テ ...

猫小説『佐々木テンコ』 第1章 「あつい あつい 夏の夜」

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 猫の名は「テンコ」。実話を元にした猫小説、猫びよりプラス新連載スタート! 暑い、とにかく、暑い。 いちばん暑いときって、見あげた空の色が黄色を通りこして、まっしろに見える。だからとにかく日陰をさがす。 日陰でずっとガマンしていたら、ようやくまっしろな空もすこしずつ青っぽく変わっていく。それを「夕方から夜へ」というのらしいのだけれど、そんなくり返しは、わたしがこの場所に来てからどれくらいあったのかなぁ。 ふぅ。 で ...

里山の子、さっちゃん EP:2「さっちゃんがここに来た理由」

さっちゃんたちの面倒を見てくれる麻里子ママは、小さなオートキャンプ場と小さなカフェをひとりで切り盛りしています。 カフェの名は「ダム」。近くにダムがあるからです。 カフェのまわりにはいつも犬や猫がいて、思い思いにくつろいでお客を迎えます。 ピザを焼く窯の上にも、カフェの店内にも、カフェの前に広がる原っぱにも。 さっちゃんがたいていいるのはカフェの中。寒い季節にはストーブのそばでまったりしています。 さっちゃんはよく小さなお客さんに話しかけられています。 この日は、しゃっくりが止まらず「大丈夫?」と心配して ...