連載

2022/1/18

猫小説『佐々木テンコ』第2章「わたしの不幸は、蜜の味」其の一

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 実話を元にした猫小説、連載第2回。暑い暑い夏の夜、街をさまよっていた「わたし」は、ヨッパライの夫婦に家へ招き入れられ……。 家に入ってからも、足は自然と、よりヒンヤリしたほうへ向かっていく。つきあたった部屋はほんとうにヒンヤリしていて、すこし高くてひろびろとした場所には、世の中のすべてのヒンヤリを集めたかのような、テロンとした布がある。えいっと飛びのった。   なんという涼しさ! あんまりにも気もちよく ...

2022/1/7

新連載『佐々木テンコ』

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 猫の名は「テンコ」。実話を元にした猫小説、猫びよりプラス新連載スタート! 文・堀 晶代 写真・堀 晶代/カズノリ ほり・あきよ フリーライター。物心ついた頃からたくさんの猫たちと育つ。大阪市立大学生活科学部卒。2002年よりワイン取材で日仏往復生活を送るなか、母の「フランスの猫の写真を見たい」という思いつきのような言葉から、猫や猫をとりまく人たちの撮影や取材を開始。自著に『リアルワインガイド ブルゴーニュ』(集英 ...

2022/1/7

猫小説『佐々木テンコ』 第1章 「あつい あつい 夏の夜」

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 猫の名は「テンコ」。実話を元にした猫小説、猫びよりプラス新連載スタート! 暑い、とにかく、暑い。 いちばん暑いときって、見あげた空の色が黄色を通りこして、まっしろに見える。だからとにかく日陰をさがす。 日陰でずっとガマンしていたら、ようやくまっしろな空もすこしずつ青っぽく変わっていく。それを「夕方から夜へ」というのらしいのだけれど、そんなくり返しは、わたしがこの場所に来てからどれくらいあったのかなぁ。 ふぅ。 で ...

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