コラム

2022/5/13

猫だって……「さびしさをこらえる時もある」

田んぼに囲まれた丘の上にある美術館には、猫がいっぱい。通い猫である虎之介くんには、こんな思い出が……。 ボク、美術館の通い猫、虎之介。週末の美術館の開館日だけ、絵描きのママの車で出勤してるんだ。 10月のある土曜日、いつものように、お庭でカマキリをおちょくったり、マツボックリ集めをしたり、木登りしたりしてひとり遊びしていたら、キャリーケースを下げた人がやってくるのが見えたんだ。 美術館でいちばん古株のミー姐ねえさんとボクは、すぐに駆けつけた。だって、キャリーからは、知らない猫の匂いがしたんだもん。 やっぱ ...

2022/5/6

猫だって……「みんなの笑顔がうれしい」

靴箱に入れられて捨てられていたニケくん。今では、ママといっしょに預かり仔猫を育てたり、訪問セラピーで大忙し。 今日は、ボクのお仕事の日。家を出る前に、ママにリードを着けてもらうと、スイッチオンになるんだ。 今日の行き先は、介護付き有料老人ホーム。何回も行ってるから、もうおなじみの訪問先だよ。 ママは、CAPPっていうアニマルセラピー活動に参加してるから、こうやって介護施設や児童施設なんかへの慰問活動にボクを連れて行くんだよ。 ボク、お出かけが大好き。ニンゲンも大好き。小さい時からリリ先輩の慰問活動を見学し ...

2022/4/28

猫だって……「ありのまま愛されたい」

photo: 楓papa サビ猫の楓ちゃんは、自転車置き場暮らしから、保護猫カフェへ。ひっそりとケージの中にいる楓ちゃんの写真に一目ぼれをしたのは……。 photo: キャットラウンジME アタシ、楓。 2歳くらいまで、駅の裏の自転車置き場の陰をうろついて、夜は自転車のカゴの中で寝てた。歩く時、ちょっと体が揺れるの。 「お外で暮らすのは、この子には酷すぎる」って、ボランティアの人が、保護猫ラウンジに里親探しを頼んでくれたの。 そんなアタシの写真をラウンジのホームページでたまたま見て、「かわいい……」ってた ...

2022/4/13

猫だって……「初恋の彼をわすれない」

静かな住宅地の角にあるカフェの出窓で、今日もまだらちゃんは町の景色を眺めています。遠い昔、彼と暮らした原っぱは、もうないけれど。 アタシの名は、まだら。面倒を見てくれるエイコさんがつけた名よ。エイコさんは、娘のアヤコさんといっしょにここで、オーガニック・カフェをやってるの。 カフェには出窓があって、アタシはいつもそこに寝そべって、遠くを見てる。今はガソリンスタンドになってしまったけど、昔は空き地だった方をね。 通りかかる人が、アタシを見て微笑んだり、声をかけたりしてくれる。自転車から下りて撫でていく人もい ...

2022/4/13

猫だって……「愛されたら愛され顔になる」

ゆめくんは、ニンゲンが大好きなおっとりやんちゃ猫。愛され顔のヒミツは、6人のママが降り注いでくれた愛情にあるようです。 「ゆめって、ほんとに愛され顔だね〜」 ボク、いつもそう言われるんだ。おうちのママからも、ボクに会いにくるママたちからも。 そう、ボクには、産んでくれたママのほかに、人間のママが6人もいるの。拾ってくれた、さとママ。交替で育ててくれた、4人のママ。ボクをおうちの子にしてくれた、ゆうこママ。 みんなで「ゆめ坊、すくすく大きくなあれ」って育ててくれたの。 ボクの左目、仔猫の時にウイルスが入った ...

2022/4/8

猫だって……「ずっとの我が家がほしい」

家族にしてくれた人との二度の別れを経験した三毛猫たまちゃん。 ずっとの我が家が見つかるのを保護猫カフェの片隅で待ちわびていました。 アタシの名は、たま。一度見たら忘れないお顔なんだって。「お鼻に墨がついてるよ」ってよく言われるわ。 アタシ、今でもお客さんが来ると、お布団の奥に隠れちゃうの。もうどこにも連れて行かれないってわかってはいるんだけど。 最初に暮らしたお父さんは、アタシのこと、すごく大事にしてくれた。夜通しの仕事が多かったけど、アタシ、お利口にお留守番してたの。 だけど、お父さんはアタシの猫缶を買 ...

2022/3/29

猫だって……「邪魔な命なんかひとつもない」

居候していた牧場から「保健所行き」の宣告が! 危機一髪のちくわくんを迎えてくれたのは、ひとつ屋根の下で、ワケアリ猫たちが暮らす里山でした。 オレ、ちくわ。この前まで、とある観光牧場で暮らしてた。といっても、オレが勝手に居着いちゃっただけなんだけど。 ノラだったオレが、空腹のあまり入り込んだとこは、牛やら羊やらいっぱいいて、休日には家族連れでにぎわう大きな観光牧場だった。ここは動物好きが集まるところなんだと安心して、居候を決め込むことにしたんだ。 ご飯は、スタッフやバイトのお姉さんや、お客さんがこっそりくれ ...

2022/3/25

猫だって……「ちゃんと家族の一員さ」

小さな商店街の青果店。店先に座るのは、どっしり大きな茶白猫。毎朝、トラックの助手席に乗って出勤してきます。 母ちゃんの運転するトラックの助手席に乗って、今日も、おいらは店にご出勤。店までほんの10分だけど、道中景色が楽しめるように、助手席はおいら仕様で木箱を置いて高くしてあるんだ。愛されてるだろ。 「おう、とら、来たか」 ひと足先に店に出て、開店準備をしてた父ちゃんが、おいらに笑いかける。おいらは、父ちゃん母ちゃんの自慢の次男坊なのさ。 「藤原青果店」は、父ちゃんと母ちゃんとおいら、家族でやってる店なんだ ...

2022/3/17

猫だって…… 「いっぱいおしゃべりしたいことがある」

「猫好きが集まるサイトを開いて、人と猫のしあわせな共生をめざします。毎週1回、ブログを書いてみませんか」 神戸の通販会社フェリシモさんから、そんな声をかけていただいて、7年がたちました。 タイトルを「道ばた猫日記」としたのは、道ばたにいたことのある、または、今も道ばたで暮らしている猫たちが、穏やかな日々を過ごせますように、との思いからです。 猫たちの物語をありのままに紹介することで、その猫を見守る町や村、寄り添う人々の物語をも紹介する形になっていったのは、ごく自然なことでした。 2015年春には、ブログか ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:12「里山で生きる」

もうすぐ春。さっちゃんがここに来て「幸多かれ」と「サチ」という名をもらって、10回目の春です。 さっちゃんたちの暮らす里山に、四季は巡ります。 春の里は菜の花色に染まって、ウグイスの声。ヤマザクラが咲いて散り、畑では、青物がぐんぐん育ちます。 夏休みは、花はなの里をかけ回る子どもたちの歓声が里山に響き、トンボが乱れ飛びます。 犬も猫も思い思いに、風の通り抜ける場所でお昼寝。 秋には野山はオレンジ色。猫たちは連れだって、落ち葉の道を遠足に。 冬の猫たちは日なたを移動。野水仙がいい香り。日が陰ったら、猫小屋の ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:11「でっかい新入り」

今度やってきた新入りは、図体のでかいやつ。がつがつ食べて、ウンチもでっかい。 猫小屋にセンセーションが巻き起こりました。 レモンおばさんとララおじいちゃんが旅立つのと入れ替わるように、新入りがやってきました。これまでの新入りと言えばたいていが、いたいけな子猫でした。 ところが……。やってきたのは、新入りという言葉からほど遠い雰囲気の、でっかいやつ。それに、どう見ても、捨てられたばかりの飼い猫でもありません。 猫小屋のみんなとうまくいくか、様子を見るためにケージハウスに入れられた大猫は、「ちくわ」という名前 ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:10「巡るいのち」

やってくる猫たちを分けへだてなく可愛がってくれた先輩猫たち。 いのちのバトンを受け継いで、里山の子は元気に生きていきます。 里山のムードメーカーだった三毛猫のレモンおばさんが旅立ったのは、里にコスモスが咲き乱れる季節。 元は、海辺の公園に捨てられていた子猫。さびしがり屋で、ごはんをくれる人の足にまとわりついて離れなかったため、ダムに連れてこられたのでした。 陽だまりのような穏やかな性格で、新入り子猫がやってくると、さりげなく散歩に付き添ったり、安心させるかのように寄り添ったり。どの猫からも慕われていました ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:9「サチとゴロー」

さっちゃんを見つけるとすぐにかけ寄りスリンとするゴローくん。 甘えたいのか、守りたいのか、とにかくさっちゃんが大好きのよう。 「あ、さっちゃんだ!」 遊びに夢中になっていても、遠くにいても、さっちゃんを見つけるや、ゴローくんは飛んでいきます。さっちゃんのあごの下に、頭をさしこんで、スリ、スリ、スリン。 あれ、さっちゃんがコケちゃた。しまった、という表情のゴローくん。そーっとスリンしたはずなのに。でも、毎回、スリスリはやめられません。 だって、さっちゃんが大好きだから。さっちゃんをひとりぽっちにしときたくな ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:8「さっちゃんの 夏休み」

さっちゃんのガールフレンドは、そうちゃん。夏休みになると、家族と一緒にキャンプ場に泊まりに来ます。 夏休みの里山は、のんびりムード。長平パパや麻里子ママは変わらずいそがしいけれど、犬猫たちは、思い思いに好きな場所でくつろいでいます。 カフェのテーブルの上で昼寝しているのは、かっちゃん。昼寝場所はその日によって違って、ピザを焼く窯の前だったりします。 ハッピーは、カフェの前の石段が好き。山からの涼しい風が通り抜けるし、お客さんが来たら、おやつをおねだりできるから。 山側の緑の木陰を散策しているのは、ライムち ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:7「3きょうだい」

またまたやってきたのは、長毛3兄妹。 事故で亡くなった母猫の帰りを、雨の中、身を寄せ合って待っていました。 ゴローくんが、猫小屋のそばに積まれた、お風呂用の薪の上で日を浴びています。賢そうな眼をした子です。 弟は、ヒデキ。妹はヒロミ。 そう、かつてのアイドル歌手の「新御三家」からとった名前です。 兄妹は、ひと月半前に、海辺の公園からやってきたばかり。 捨て猫の名所になっている公園に捨てられた母さん猫から産まれた子です。母猫は交通事故に遭い、遺のこされた子猫たちは、冬の冷たい雨に打たれ、身を寄せ合っていたの ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:6「春がきた」

秋生まれのライムちゃんにとって、初めての春がやってきました。春色の里山を案内してもらいましょう。 「不思議の国のアリス」に出てくるせっかちウサギのように、とっとことっとこ菜の花の咲く野道を急ぐライムちゃんに会いました。大きくなったこと! 「ライムちゃん、どこいくの」 「春の匂いをかぎに」 そこで、ライムちゃんについていくことに。 道中、陽だまりでゴロンゴロンしているレモンおばさんに出会いました。かっちゃんは、岩の上で見張り兵みたいに座っています。ふたりとも、ダムの長老猫です。 「おばさん、こんにちは」 道 ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:5「赤ちゃん猫がやってきた」

生まれて間もない赤ちゃん猫がやってきました!さっそくママ役を買って出たのは、ハッピーとさっちゃんでした。 4年前の初秋のこと。生まれてまだ2週間くらいの赤ちゃん猫がダムに持ちこまれました。 ノラ母さんが戻らず、一昼夜野ざらしにされていたのです。 哺乳瓶に小さなツメを立てて、むしゃぶりつく子猫の「生きようとするチカラ」に、麻里子ママは目を見張りました。 子猫は夜更けに持ちこまれたのですが、翌日は豪雨。危機一髪でした。 その夜、子猫に添い寝してくれたのは、さっちゃん。出ないおっぱいをまさぐる子猫のために、マヒ ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:4「山猫母さんの子たち」

ふわふわの長毛を持つキジトラ兄妹、バジル、ウメ、シソ、ヨモギ。そっくりさんで麻里子ママもすぐには見分けがつきません。 さっちゃんの後も、ダムには次々と捨て猫や迷い猫が持ちこまれました。 庭に迷いこんだおうちのおばあちゃんが猫嫌いだったため、3か月の時にやってきたサバ白のイチロー。 花屋さんの店先のバケツの中にポンと入れられたままだった子猫は、ミカン。右手を骨折していて、しばらく添木を当てていましたが、ハッピーとサチがそれはよく面倒を見ました。 ハッピーが山からくわえてきた子猫のウブと、神社の軒下にひとりぼ ...

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