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コラム

2022/12/23

寄りそう猫「猫のいるしあわせ」

バツイチおっかあと子どもたちが暮らす海辺の家は、今日もにぎやか。ワケアリ猫が9匹、笑顔の真ん中にいる。 千鶴子さん提供 利発そうな瞳を持つキジ白の子猫を、あおいちゃんの小さな手が、大事そうにそっと包む。この子は、あおいちゃん一家の9番目の宝物だ。 子猫は生後2か月くらいのとき、海辺で衰弱しきってカラスにつつかれていた。通りかかって救ってくれたのは、海辺の猫たちのお世話を続けている保護団体「ドリームキャット」の千鶴子さんだった。 シェルターで栄養をつけてもらっているところを、おうちの猫の塗り薬を分けてもらい ...

2022/12/16

寄りそう猫「里山の仲間たち」

海辺の公園に捨てられた子猫は、里山に。「福猫になあれ」と、「福」という名をもらった。 福くんの橙色の瞳は、毎日毎日、新しいものを発見しては、輝いている。 草むらや畑や小道の匂いを嗅ぎ回って遊び回るから、鼻先にいつも土がついている。 もう、寒くてひもじくて怖くて、公園で震えていた独りぼっちじゃない。 拾ってくれた人が家では飼えなくて、連れてきてくれた里山では、犬や猫がわんさか迎えてくれた。 迷い込んだり持ち込まれたりした保護犬・保護猫たちで、もういっぱいいっぱいだったのに、行くところのない子猫を受け入れてく ...

2022/12/8

寄りそう猫「陸くんの贈り物」

険悪な仲の2匹の間を取り持つために迎えられた愛らしい猫。だが、彼は病気を発症し……。 由梨さん提供 陸は、この家に迎えられた3匹目の猫だった。スレンダーな肢体と、輝く瞳を持っていた。そして、とても人懐こかった。 保護されたのは、へその緒がついたままの生後数日のとき。マンションの側溝から子猫の鳴き声がしているのに住民が気づき、蓋を持ち上げようとしたが重くて上がらす、消防署員10人による救出劇となったという。保護主から保護団体経由で、ミルクボランティアの由梨さんのもとへ。他の預かり子猫たちと一緒に、2か月まで ...

2022/12/6

ネコのとなりに [最終回]声

ネコは身近な動物で、ヒトの社会の中で暮らしています。そのため野生動物とは異なり周囲の環境も含め、ヒトがいてネコは生きていけると思うのです。ヒトとヒトの間に繋がるいのち。今を生きる友達として向き合いながら、街の中にネコのいる風景が時代は変わってもあり続けてほしいと願うばかりです。 写真・文・イラスト平井佑之介 ▲“よつこ”は益々大胆に寝るようになった 記念すべき「ネコのとなりに」第一回に登場した地域のアイドル〝よつこ〞は、長年外で暮らしていたが、3ヶ月前になんとネコボランティアさんの家に迎えられた。 「6年 ...

2022/11/17

寄りそう猫「虐待から救われて」

夜の公園でボール代わりに蹴られていた豆ちゃん。救ってくれたのは、通りかかった伸子さんだった。 豆ちゃんは、4歳の茶白の雄猫。伸子さんとのふたり暮らしだ。 豆ちゃんの苦手なものは、外を通る男の子の元気な声や、サイレンや、工事の音や、ビニール袋のカシャカシャ音。 だいぶ落ちついてきたけれど、やってきたばかりのときは、苦手な音がするたびに、パニックになって、ガタガタ震えだしたものだ。 今でも、キャリーに入れようとすると、口から泡を吹くほど怖がるので、動物病院にも連れていけない。 伸子さん提供 そんな豆ちゃんと伸 ...

2022/11/9

寄りそう猫「ねぎ様はいい女」

ねぎ様と、いっとくさんは、21年間一緒に暮らしてる。ねぎ様は、わがままだけど、この上なくいい女だ。 ねぎ様は、シャインマスカット色の美しい瞳を持つ三毛猫だ。 推定23歳。もしかしたら、それ以上。英語教師で造形作家でもあるいっとくさんと、ひとつ屋根の下で暮らしている。 年と共に少し寂しがり屋になって、いっとくさんがお風呂に入っているときも、トイレに入っているときも、ずっと鳴き続けている。 そのくせ、朝、仕事に出かけるときは、鳴かない。「私のご飯を稼いでくる」と分かっているようだ。 いっとくさんとねぎ様の出会 ...

2022/11/4

寄りそう猫「よれよれの猫」

雨の夕方、行き倒れのようにやってきた黄色い猫。夫婦は猫を放っておけず、最期を看取るつもりで、家に入れた。 窓から差し込む光が、ふっさりした黄色い毛並みを輝かせる。名を呼べば、甘えを帯びた目で見つめ返す。 安心しきったその姿にいとしさがこみ上げながら、ひとみさんは思い出す。 この子がここにたどり着いたときの、衰弱しきったよれよれの姿を。 それは、3年前の5月の夕方だった。 「黄色い猫がよたよた玄関までついてきちゃったんだけど。かなり衰弱してる」 先に帰宅した夫の邦彦さんから、そんなメールをひとみさんが受け取 ...

2022/10/28

寄りそう猫「ボクは、新入り教育係」

保護猫カフェ「鎌倉ねこの間」の新入り教育係は、とらくん。散歩中の柴犬に命を救われ、ここにやってきた。 緑あふれる鎌倉の閑静な住宅地に「鎌倉ねこの間」はある。オーナーの久美子さんが自宅の一部を譲渡型保護猫カフェとして、3年前に開いたものだ。 つらい思いをした末に保護された猫たちに、新しい家が決まるまでをのびのび過ごしてほしいと、吹き抜け階段や大窓、ロフトもある、思い切り開放的な空間になっている。 お客さんの膝の上で甘える猫、階段で追いかけっこする猫、大窓から裏山のバードウォッチングを楽しむ猫、高い梁の上を散 ...

2022/12/13

寄りそう猫「マリちゃんの『女の一生』」

若くして漁港に捨てられたマリちゃん。いろんなことがあったけど、潮風に吹かれてきょうも海辺を闊歩する。 ころんとした手足と大きめの顔を持つマリちゃんは、南房総にあるこの漁港の主のような雌猫である。 漁協直営の「ふれあい市場」の人たちみんなに、可愛がられている。 寒い季節はあまり外に出ず、市場の従業員休憩所でぬくぬく過ごすが、暖かくなってくると、朝から漁港内の見回りに精を出す。 「マリ姐さんが見回り中だ」と、若い猫たちが遠くから見つめる中、悠然と一帯をのし歩く姿は、女ボスの貫禄十分だ。 「変わりはないようね」 ...

2022/12/6

ネコのとなりに [第16回]待ち人

ネコは身近な動物で、ヒトの社会の中で暮らしています。そのため野生動物とは異なり周囲の環境も含め、ヒトがいてネコは生きていけると思うのです。ヒトとヒトの間に繋がるいのち。今を生きる友達として向き合いながら、街の中にネコのいる風景が時代は変わってもあり続けてほしいと願うばかりです。 写真・文・イラスト平井佑之介 ▲待っていたよと伸びをする “ギァーー、ギァーーオ”と住宅街にネコの声が響く。 “キジロー”と名付けられたこの声の主は、どこからか流れてきたオスのキジネコで最初から懐こい性格だったという。ヒトを見ては ...

2022/10/14

寄りそう猫「自由に生きればいいんだよ」

画一教育からこぼれでた子どもたちの集う場所。傍らに寄りそうのは、捨て猫だった灰色の猫だ。 静岡県天竜川のそばに、「ドリーム・フィールド」はある。市内の高校で21年間教師をしていた大山さんが、15年前に作ったフリースクールだ。 現在は、6歳から30代まで、およそ50人が通ってくる。不登校や発達障害など、一斉画一教育になじむことができなかった生徒たちだ。 ここには、猫も暮らしている。スクールの2代目スタッフ猫のごまちゃんだ。まだ若いが、灰色のどっしりした雄猫で、スクール内を自由気ままに歩き回っている。捨て猫だ ...

2022/10/6

寄りそう猫「家族のように」

家族のように和気あいあいと暮らす老人ホーム。そこには、通所猫も、入所猫もいて……。 ここは、北関東にある、春の野に咲く小さな花の名の老人ホーム。デイサービスやグループホーム、高齢者専用マンションも兼ね備えている。 もうすぐお昼。おや、前庭から、デイサービス利用者らしき姿が。「お昼ご飯、ください」丸々したサバ白さんだ。 その後ろからも、あっちの塀の上からも、裏口からも、次々と訪問する猫たち。微妙な時間差利用のようだ。みんな耳カットが施されている。 「通所猫は何匹もいます。うちで不妊去勢手術をして、面倒を見て ...

2022/9/29

寄りそう猫「忘れ形見」

のりえさんの夫は、亡くなる前にこう言い残した。「猫たちは、1匹も手離さないでほしい」と。 こまったちゃんは17 歳。 のりえさんは、とても若い時、家を飛び出す形で、夫と一緒になった。音楽が大好きな夫婦だった。 タクシー乗務の仕事をしていた夫は、寄る辺ない猫を見つけると、見過ごすことがどうしてもできない人だった。 近所だけでなく、会社、待機場所、出先などで、困っている猫を見つけるたび、家に連れて帰った。 奥さんが、猫は触れないほど苦手だったのにも構わずに。 夫は、猫の世話を続け、餌代や手術代に、自分の小遣い ...

2022/9/29

寄りそう猫「拾った『子猫』は、おばあちゃん」

三毛猫ジャガーちゃんは、7年前、登校途中の姉妹に拾われた「子猫」だった。なのに、今の年齢は……? 「子猫ちゃんがずぶぬれになってる」 小学校に送り出したばかりの娘たちから、キッズ携帯で直子さんに電話がかかってきた。7年前の12月、雨の朝だった。 「すぐ行くから」 車で駆けつけると、傘をさした娘たちが道ばたにしゃがんでいる。 姉娘の膝には、痩せた小さな猫。冷たい雨に打たれたせいで、いっそうみすぼらしげに抱かれていた。 長毛らしき三毛である。だが、猫は、どう見ても子猫ではなく、老猫だった。抱き上げると、ふわっ ...

2022/9/29

寄りそう猫「1+2で、3兄弟」

知子さん提供 「猫たちが仲良くなれなかったら、結婚はなし」そんな同意のもとに、ふたりの猫連れ同居は始まった。 知り合った当時、祐一朗さんと知子さんは、都心にある同じ会社の同じグループで働いていた。仕事の話以外はしたことがなかったふたりの仲は、4年前に急接近する。 きっかけは猫だった。 保護されたばかりの子猫をもらい受けた知子さんが、猫飼いの先輩である祐一朗さんに飼い方の相談に乗ってもらったのだ。 知子さんが飼い始めたのは、おでこと尻尾が黒く、あごと尻尾にちょこんと茶色のある、アキラちゃん。珍しいと言われる ...

2022/9/29

寄りそう猫「母さんは、犬」

種は違っても、誰にも負けない仲良し母娘の、ひめ子とひな子。ふたりが母娘となったきっかけは、ある朝のことだった。 国産天然木の香りが満ち満ちた、広い工房の中で、きょうも、ひな子は、探検に余念がない。 「あれ、ひな子はどこにいった?」と、栄一父さんに問われれば、ひめ子は、すぐさまひな子の元へと誘いざなう。 いつだって、大事な娘の姿は目で追っているから、居場所はちゃんとわかっている。 危ないことをしそうなときは、「ウ〜〜」と唸って、しっかりしつけをして育ててきたから、心配ないのだけど。 視界から姿が消えると、気 ...

2022/9/2

寄りそう猫「ノネコがやってきた!」

物心ついたときから、私の傍らにはいつも猫がいました。 人見知りなくせに、ほっつき歩きが好きで、猫とはすぐに仲良くなれる少女でした。 ずいぶん昔におとなになってからも。 フリーライターという仕事を始めて、いろいろな町々を訪ねることが多くなり、取材後に、その町の商店街や路地裏や漁港などをうろつき、いろいろな猫と出会うのが楽しみになりました。いつしか自己流で写真も撮り始めました。 猫と遊んでいると、近くにいる地元の人が声をかけてくるのです。 「よっぽど猫が好きなんだねえ。その猫はあんまりなつかない子なんだけど」 ...

2022/12/6

ネコのとなりに [第15回]少年

ネコは身近な動物で、ヒトの社会の中で暮らしています。そのため野生動物とは異なり周囲の環境も含め、ヒトがいてネコは生きていけると思うのです。ヒトとヒトの間に繋がるいのち。今を生きる友達として向き合いながら、街の中にネコのいる風景が時代は変わってもあり続けてほしいと願うばかりです。 写真・文・イラスト平井佑之介 ▲バッタを追いかける“ガリ”。駆けまわる姿が微笑ましい 初夏、茶白ネコの“ガリ”が何かを夢中に追いかけている。 フェンスの隅まで追いつめ、前足を伸ばして捕まえたのは大きく育ったカマキリだ。 しかしカマ ...

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