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赤ひげ先生インタビュー「あっぷ猫の病院」 佛淵あや

取材・文 西宮三代 写真 平山法行 住宅街にひっそり立つ小さな猫の診療所 「あっぷ猫の病院」(東京都大田区)は、猫のための小さな診療所。ベージュ色の建物は、遠目には、そこが動物病院だと気づかないくらい、住宅街に溶け込んでいる。 玄関横には、猫のイラストとともに「猫の歯は30本あります(乳歯は26本)、ワンちゃんは42本(乳歯28本)です」と書かれた黒板、猫顔シルエットをあしらった郵便ポスト、植物の枝に乗って 楽し気に遊ぶ猫のオブジェなど、 しばし眺めるだけでホッとする。玄関入ってすぐが待合室で、正面が受付 ...

猫だって……「やさしい人のそばがいい」

町の人にかわいがられ、外猫として頑張っていたミケちゃん。ある嵐の夜、朝までそばにいてくれたのはやすらぎさんでした。 アタシの名は、ミケ。やすらぎさんがつけてくれたの「穏やかないいお顔してるね」ですって? ふふ、アタシ、今、やすらぎさんにスペシャルマッサージをしてもらってる最中だもの。やすらぎさんの手は、とってもあったかいの。声もいつだってやさしいの。 やすらぎさんと出会ったのは、5年前。アタシがまだ1歳くらいの時よ。当時のアタシは公園を住処にしてて、ご飯をくれる美容室まで毎日通ってた。やすらぎさんのお店は ...

日本の猫雑誌の歴史

今や当たり前のように書店に並ぶ日本の猫雑誌。しかし、その歴史は意外に浅く、いつも社会情勢に左右されてきました。猫雑誌はどのように発展し、猫と人間との関係や時代をどのように反映してきたのでしょうか?『猫が歩いた近現代―化け猫が家族になるまで』(吉川弘 文館)で猫好きにもおなじみになった歴史学者が解説します。 文・写真提供・真辺将之 日本初の猫雑誌 日本最初の雑誌は1867(慶応3)年刊の『西洋雑誌』ですが、最初の猫雑誌である『猫の研究』が刊行されるのはそれから60年以上後の1935(昭和10)年7月のことで ...

猫と出会い笑顔になれる保護猫カフェ

2018年11月、名古屋の東山動植物園近くにオープンした「保護猫カフェ笑猫」は古民家の一軒家。玄関前のウェルカムルームで受付した後、縁側がある和室へ。陽の当たる庭を眺めながら、保護猫とまったり過ごすことができる。ここで、現在約20匹のスタッフ猫たちが暮らしている。 オーナーの〝笑猫かぁさん〟こと石原恵美子さんは、肺炎・くも膜下出血・発作性心房細動と3度の大病を患ったが、いつも寄り添ってくれた猫がいたという。「残された人生で猫に恩返ししたい」と保護猫カフェを始めることを決意したそうだ。 カフェの開店にあたり ...

猫だって……「愛をつないで生きていく」

車の販売店で看板猫を務める仲良し黒猫たち。ニ匹の絆物語の始まりは、拾われた一匹の子犬からでした。 アタシ、ナデシコ。相棒は、同じ黒猫で2年上のヤマト。新車と中古車の販売店の、箱入り息子と箱入り娘なの。 アタシたち、事務所にご来店のお客さまには、カウンターから「いらっしゃいませ」をするし、お買い替えのご相談には、ソファーの脇で立ち会うのよ。 そっくりで見分けがつかないって言われるけど、よく見れば、ヤマトはアタシより大きくて精悍な顔つきをしてるってわかるはずよ。 店内に飾ってある写真の子犬は、「ブーちゃん」。 ...

芳澤ルミ子のぶらにゃんこ 第10回

東京・荒川区。古くから隅田川沿いを中心に、町工場が立ち並ぶ「町屋」にやってきました。ちんちん♪ 走る路面電車、懐かしい雰囲気の商店街、定食屋に銭湯……。再開発は進んでいるけれど、下町的町並みは健在です。今日は、かつて「お化け煙突」として有名な千住火力発電所があった「尾竹橋」近くの、或る工場へ向かいます。 天然調味料、カルシウム食品等の製造販売を主とする、創業120年の「徳岡商会株式会社」。先の大戦直後は、厚生省の要請を受け、数多くの帰還兵の栄養失調対策の機能回復食品として、牛骨の骨髄スープを提供していた由 ...

猫だって……「約束を守り続ける」

「猫を飼いたい」それが、ワタルさんの最後のわがまま。そして、迎えられたのは、沖縄からやってきた女の子でした。 わたしの名は「しずか」。「うんとかわいらしい名前にしよう」って、ドラえもんのマドンナ「しずかちゃん」と同じ名をつけてもらってから18年半。お父さんもお母さんも、私のこと、とっても大事にしてくれるわ。 わたしね、今も、お兄ちゃんがこの家にいるみたいな気がするの。 お兄ちゃんが「末期がん」と宣告されたのは、まだ21歳の時だった。お父さんとお母さんは、残された日々を悔いなく過ごさせてやろうと考えて、願い ...

猫助けはおいしいコーヒーを飲みながら

池袋駅から東武東上線で5分の大山駅。南口を出て徒歩2分、沿線屈指の賑やかな商店街から通り1つ外れた一画に保護猫シェルター併設型カフェ「すあま商會」はあります。 店内のシェルターで暮らす保護猫は常時5匹ほど。店主の平松温子さんは、丁寧なマッチングと住環境などについてのきめ細やかなアドバイスで多くの猫たちを新しい家族のもとに送り出してきました。 落ち着いた雰囲気でコワーキング・スペースとしても◎。仕事がはかどりそうです。 サンドイッチなどの軽食、すあまやアップルパイなどお菓子はどれもおいしく、豆にこだわったコ ...

猫だって……「最後まで人を信じてる」

路上に倒れた猫が見つめていたのは、「生」というほんのかすかな明るみ。そして、やさしい手が……。 ボクは、ママが大好きだ。一日に何度も「抱っこ、抱っこ」とせがんで、胸に顔を埋める。下ろされそうになると「いや、いや、いや」としがみつく。 また、リオのやつ、ママに甘えてらあ。大きななりして。ママもリオに甘いんだから」 ナッツたちが呆れた目で見ていても、やめられない。 だって、ここは、ボクがやっと見つけた安住の場所。ママのやさしいハートの一番近くにいつもいたいんだ。 ボクは、ママのそばで、「生き直し」を始めたばか ...

猫だって……「ワイルドを楽しみたい!」

牧場暮らしのネコ助くん。育ての親はドーベルマンで、馬も友達。日々、牧場を駆け回り、ワイルドさに磨きがかかります。 オレの名は、ネコ助。安直につけられた感じがしないでもないけど、恩人の父ちゃんと母ちゃんがつけた名前だし、自由猫のオレにぴったりの飄々とした名前かと、最近はそこそこ気に入っている。 今でこそ、「都会ではとんと見かけないワイルドな顔つき」とよく言われるオレだけど、3年半前には、「助けてよー。カラスが怖いよお」って、妹といっしょに弱々しく泣いてたチビだったんだ。 オレたち兄妹は、まだ目も開いてない頃 ...

美味しいおやつでストレスフリーな投薬を!

猫の平均寿命は年々伸びていますが、病気や高齢ゆえの不調で投薬が欠かせないという猫も多いのではないでしょうか。しかし、飲みたがらない薬を猫に与えるのは、猫にとっても飼い主にとってもかな りの負担です。 そんなときにもってこいなのがVet's Laboのメディボール。メディボールとは、薬が苦手な猫のための、薬を美味しく包む投薬補助おやつです。 Vet's Laboの商品開発には獣医師が携わっていて、ペットと飼い主がより幸せになるために日々試行錯誤を重ねています。メディボールが開発されたのも、投薬を嫌なものでは ...

第14回 愛猫CIAOちゅ~る物語「CIAOちゅ~るどこで食べる?」猫びより賞

Presented byいなばペットフード株式会社 「仲良くなるきっかけに」、「お薬を楽しく飲んでもらえるように」、「爪切りを頑張ったご褒美に♪」……など愛猫や顔なじみの猫と「CIAOちゅ~る」にまつわるエピソード&写真を毎号テーマを変えて大募集! お風呂場でどうぞ うちの気まぐれわがまま娘を大人しくさせるには、CIAOちゅ~るが効果テキメン! 先日、久々にシャンプーをしました。意外にもシャンプーは大人しくさせてくれるうちの娘。だけど、さすが気まぐれ。何がスイッチか分からないけれど、突然ニャーニャ ...

猫小説『佐々木テンコ』第8章「ランからの、最後のお願い」

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。実話を元にした猫小説、ついに最終回! 乳腺の腫瘍が見つかり、手術を受けたボンビ。それから月日は流れ……。 ランとプが居間の壁に紙を貼ってから、秋、冬、それからもなんかいか、春、夏、秋、冬……がおとずれた。 ランとプと、わたしとボンビ。 たまにとても遠い場所にプがいても、お昼にランがいる場所がちょっと遠くても、近かったら獣医さんからでも、みんなもわたしもどこかに行っても、このお家にかならず戻ってくる。 でも、ちょっと ...

猫だって……「穏やかに年をとりたい」

ウギャーちゃんは、後期高齢猫。外猫時代の事故のため、満身創痍だけど、やさしい人のそばで穏やかに年老いていきます。 こうして毎日、ぬくぬくして部屋ん中で暮らしているけどさ、あたしゃ、外猫生活がうんと長かったの。 そうねえ、12年以上は外で暮らしたかしらね。いろんな人に情けをかけてもらって生きてきた。ご飯もいろんな人がくれたし、冬の寒い夜は、泊まらせてくれる家もあってね。この町では邪険にする人もいなかったよ。ノラをやるには、いい町だったねえ。 4年前のあの暑かった日は、駐車中の車の下でうっかり寝入っててね、動 ...

猫だって……「秘密をもっている」

路地にある喫茶店で看板猫を務める黒猫ネロくん。じつは、彼には、6つの秘密があるのです。 ボクのおうちは、路地で喫茶店をやっているんだ。喫茶店のママは、ボクのママのミキコさん。ミキコさんのお父さんは昔、ここで小さな鋳物工場をしてて、その片隅に、ミキコさんは喫茶店を作ったんだ。お仕事を終えた人たちが、珈琲を飲みながら、くつろげるようにって。 初めて入ってきたお客さんとでも気さくにおしゃべりするミキコさんの、誰も知らない秘密を、ボク、知っているよ。 ミキコさんは、ほんとは、ものすごーく人見知りで恥ずかしがり屋な ...

芳澤ルミ子のぶらにゃんこ 第9回

有明海に浮かぶ猫の島へ。ぶらっと……のつもりが、遠かった! 熊本空港からリムジンバスで熊本駅へ。「超快速あまくさ号」のバスに乗り換え、道の駅「上天草さんぱーる」で降車。江樋戸港まで歩いて、連絡船(1日5往復)に乗り、はるばる憧れの「湯島」です。 1637年、当時16歳だった天草四郎は、海の上を歩いて湯島に渡って来て作戦会議を行い(湯島は別名「談合島」とも呼ばれている)、後の「島原の乱」へと突入していったといわれています。いよいよ着岸! 「島にはキリスト教信者が多いのですか?」 船着き場すぐ、売店のお姉さん ...

猫小説『佐々木テンコ』第7章「七夕の短冊」

猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 実話を元にした猫小説、連載第11回。美味しいゴハンで最近太り気味のボンビに異変が…? 「春」「夏」「秋」「冬」がやってきて、「一年」がすぎる。 でもそれは、ただただくり返しているだけではないみたい。ランやプが前よりも、 「歳、くったなぁ」と、ため息をつくことが増えた。   歳をくうって、どんどんと覚えたことが増えていくということなのかな。 それとも太るということなのかな。 わたしもこの家に来た頃よりはず ...

猫だって……「郷に入らば郷に従う」

気ままなフーテン暮らしを謳歌していた大猫ゴンちゃんがついに保護。はたして、すんなりと家猫になれるのか……。 ずっとおひとり様の自由生活を楽しんでたこのオレが家猫になるなんて、思ってもいなかったぜ。ついこの前までは。 縄張り争いに負けることのなかった大猫のオレが、より快適なねぐらを求めて、この町に流れてきたのは、2年前の春の終わりのことだった。スーパーの前庭に木陰とベンチと草むらがあって、すっかりそこが気に入ったんだ。オレ、風に吹かれてるのが好きなんだ。 いつのまにか「ゴン」って名がついてた。「ゴンちゃん」 ...