猫だって……「初恋の彼をわすれない」
静かな住宅地の角にあるカフェの出窓で、今日もまだらちゃんは町の景色を眺めています。遠い昔、彼と暮らした原っぱは、もうないけれど。 アタシの名は、まだら。面倒を見てくれるエイコさんがつけた名よ。エイコさんは、娘のアヤコさんといっしょにここで、オーガニック・カフェをやってるの。 カフェには出窓があって、アタシはいつもそこに寝そべって、遠くを見てる。今はガソリンスタンドになってしまったけど、昔は空き地だった方をね。 通りかかる人が、アタシを見て微笑んだり、声をかけたりしてくれる。自転車から下りて撫でていく人もい ...
ネコのとなりに [第14回]寄る辺
ネコは身近な動物で、ヒトの社会の中で暮らしています。そのため野生動物とは異なり周囲の環境も含め、ヒトがいてネコは生きていけると思うのです。ヒトとヒトの間に繋がるいのち。今を生きる友達として向き合いながら、街の中にネコのいる風景が時代は変わってもあり続けてほしいと願うばかりです。 写真・文・イラスト平井佑之介 ▲木陰で白い毛がとても目立っていた。1本の木がお気に入りのようだ。 ▲9年前の“さくら”。話しかけてくるような透き通った目をしている 日差しを燦々と浴びる気が1本生えている。根元で日向ぼっこをしている ...
猫小説『佐々木テンコ』第5章「ランからの、はじめてのお願い」其の二
猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 実話を元にした猫小説、連載第8回。仕事でフランスに旅立った「プ」と電話が繋がらず、いぶかしむ「ラン」。翌日かかってきた電話に涙する「ラン」を見て、「わたし」は確信する。どうでもよくないことが起きている。 ランが言った。 「テンコ。明日から俺は遠くに行くから、今からあなたとボンビを猫専用のペットホテルに預けなければならない。 迎えに来られるのは何日後になるかは分からない。キャリーケースに入るのも、よそで過ごすのも嫌 ...
芳澤ルミ子のぶらにゃんこ 第8回
渋谷から東急田園都市線に乗って10分ほど、今回は世田谷区をお散歩です。サザエさんでおなじみ、磯野家が暮らす桜新町。そのお隣「用賀」には桜の名所として有名な緑豊かな砧公園。流石、住みたい街ランキング上位をキープする世田谷区、穏やかで気持ちのいい雰囲気が広がります。 今日は、21年2月22日にオープンした「ねこハウス222」に、猫店長がいると聞いて訪ねました。お店を探しながら歩いていると、大通りの歩道からガラス越しに招き猫(しらたま店長)を発見! 道行く人たちは足を止めて声を掛けていきます。 こちらは猫のプレ ...
猫だって……「愛されたら愛され顔になる」
ゆめくんは、ニンゲンが大好きなおっとりやんちゃ猫。愛され顔のヒミツは、6人のママが降り注いでくれた愛情にあるようです。 「ゆめって、ほんとに愛され顔だね〜」 ボク、いつもそう言われるんだ。おうちのママからも、ボクに会いにくるママたちからも。 そう、ボクには、産んでくれたママのほかに、人間のママが6人もいるの。拾ってくれた、さとママ。交替で育ててくれた、4人のママ。ボクをおうちの子にしてくれた、ゆうこママ。 みんなで「ゆめ坊、すくすく大きくなあれ」って育ててくれたの。 ボクの左目、仔猫の時にウイルスが入った ...
第13回 愛猫CIAOちゅ~る物語「CIAOちゅ~るをおねだり」猫びより賞
Presented byいなばペットフード株式会社 「仲良くなるきっかけに」、「お薬を楽しく飲んでもらえるように」、「爪切りを頑張ったご褒美に♪」……など愛猫や顔なじみの猫と「CIAOちゅ~る」にまつわるエピソード&写真を毎号テーマを変えて大募集! 見て見て! 愛しいこの表情! うちの小梅はCIAOちゅ~るが大好き! 「おいしくて耳が勝手にイカ耳になっちゃうにゃ~」と言わんばかりに、ちゅ~るを食べると必ずこの顔になっちゃいます(笑)。 (埼玉県 ロポ) 募集内容 みなさんの“猫”と“CIAOちゅ~ ...
猫だって……「ずっとの我が家がほしい」
家族にしてくれた人との二度の別れを経験した三毛猫たまちゃん。 ずっとの我が家が見つかるのを保護猫カフェの片隅で待ちわびていました。 アタシの名は、たま。一度見たら忘れないお顔なんだって。「お鼻に墨がついてるよ」ってよく言われるわ。 アタシ、今でもお客さんが来ると、お布団の奥に隠れちゃうの。もうどこにも連れて行かれないってわかってはいるんだけど。 最初に暮らしたお父さんは、アタシのこと、すごく大事にしてくれた。夜通しの仕事が多かったけど、アタシ、お利口にお留守番してたの。 だけど、お父さんはアタシの猫缶を買 ...
猫小説『佐々木テンコ』第5章「ランからの、はじめてのお願い」其の一
猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 実話を元にした猫小説、連載第7回。入院先の動物病院から無事帰宅した「わたし」を迎えたのは新入りの「ボンビ」。避けようとしても「ニャッホ~」と鳴いてスリスリしてくる。マイペースぶりに、何だかどうでもよくなってきた「わたし」だった。 ボンビはわたしの真似をする。 ボンビがオシッコを失敗したのは、最初のいっかいだけ。それからはわたしの臭いのついたトイレでキチンと用を足し、失敗をしたことはない。わたしはたくさんのトイレを ...
猫だって……「邪魔な命なんかひとつもない」
居候していた牧場から「保健所行き」の宣告が! 危機一髪のちくわくんを迎えてくれたのは、ひとつ屋根の下で、ワケアリ猫たちが暮らす里山でした。 オレ、ちくわ。この前まで、とある観光牧場で暮らしてた。といっても、オレが勝手に居着いちゃっただけなんだけど。 ノラだったオレが、空腹のあまり入り込んだとこは、牛やら羊やらいっぱいいて、休日には家族連れでにぎわう大きな観光牧場だった。ここは動物好きが集まるところなんだと安心して、居候を決め込むことにしたんだ。 ご飯は、スタッフやバイトのお姉さんや、お客さんがこっそりくれ ...
ボブはいつでも完璧だった——。ジェームズ・ボーエンが語る 映画『ボブという名の猫2 幸せのギフト』
ミュージシャンを志したものの様々な困難に遭い路上生活者となった青年ジェームズと一匹の野良猫ボブ、ふたりの奇跡の友情を描いた書籍『ボブという名のストリート・キャット』(辰巳出版)をはじめとしたシリーズは、世界中で愛され、1000万部を超えるベストセラーとなりました。2016年にはシリーズのうち1、2作目『ボブという名のストリート・キャット』『ボブがくれた世界』を原作とした映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」を公開。ボブ自身がボブの役を演じたことでも話題となりました。そして2022年2月には第2作「ボブ ...
本屋さんが選ぶ猫の本
猫好きはじめました このような場所で白状するのは憚られるのですが、私は元々犬派でした。それが今では犬も猫も派閥なんてないという考えに至っています。両方大好きです。 猫好きになったきっかけは、猫を飼っている同僚宅にお邪魔した際に、一匹の猫が私の膝で眠ってくれたことです。それまでは、猫とは無愛想で、靡かず、こと初めて会う人に気を許すことなど全くないと思い込んでいただけに、膝枕ができたことに大いに感動し、「この可愛い生き物と一緒に暮らしたい!」と決意しました。 初めて動物を飼うということもあり、一生責任を持てる ...
猫だって……「ちゃんと家族の一員さ」
小さな商店街の青果店。店先に座るのは、どっしり大きな茶白猫。毎朝、トラックの助手席に乗って出勤してきます。 母ちゃんの運転するトラックの助手席に乗って、今日も、おいらは店にご出勤。店までほんの10分だけど、道中景色が楽しめるように、助手席はおいら仕様で木箱を置いて高くしてあるんだ。愛されてるだろ。 「おう、とら、来たか」 ひと足先に店に出て、開店準備をしてた父ちゃんが、おいらに笑いかける。おいらは、父ちゃん母ちゃんの自慢の次男坊なのさ。 「藤原青果店」は、父ちゃんと母ちゃんとおいら、家族でやってる店なんだ ...
花屋のぶちゃ可愛い看板猫
本誌9月号に掲載された名古屋の花屋「フラワーショップテラオ」の紹介で、花屋女将会メンバーの石川友美さんが営む「ミルフルーリスト」を教えていただいた。本店にいるレモンちゃん(15歳メス)、ミルちゃん(17歳メス)は人見知りさんだが、2015年9月にオープンしたR155店の看板猫テツ子ちゃん(8歳メス)は接客も務める立派な看板猫に成長した。 鼻ペチャ短足系なテツ子ちゃんは、子猫の頃に近所の薬局に迷い込んで保護され、縁あってミルフルーリストにやってきた。目が涙でグズグズで、ぶちゃいくさに最初は飼うのも迷ったそう ...
猫だって…… 「いっぱいおしゃべりしたいことがある」
「猫好きが集まるサイトを開いて、人と猫のしあわせな共生をめざします。毎週1回、ブログを書いてみませんか」 神戸の通販会社フェリシモさんから、そんな声をかけていただいて、7年がたちました。 タイトルを「道ばた猫日記」としたのは、道ばたにいたことのある、または、今も道ばたで暮らしている猫たちが、穏やかな日々を過ごせますように、との思いからです。 猫たちの物語をありのままに紹介することで、その猫を見守る町や村、寄り添う人々の物語をも紹介する形になっていったのは、ごく自然なことでした。 2015年春には、ブログか ...
猫小説『佐々木テンコ』第4章「あの子が、来た!」其の二
猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 実話を元にした猫小説、連載第6回。新入りの「ボンビ」は、キャリーケースから飛び出すとソファに飛び乗りオシッコをじょ~~。と思ったら今度は「わたし」に頭をすりつけゴロゴロ~。とんでもなくマイペースな猫だった! つぎの日からも、ボンビはわたしにひっついてくる。ニコニコしているのか、マジメなのか、遠慮がないのかわからない顔で。 いちど「シャーッ!」とおどかしてみたら、「ニャッホ~」と返されて、つぎはマウントしながら「シ ...
神様・仏様・お猫様 神社仏閣の猫 第13回 福島県大沼郡「伊佐須美神社」
福島県西部に広がる米所・会津。その歴史は古事記の時代に遡り、崇神天皇が北陸道に派遣した将軍・大毘古命(おおひこのみこと)と、東海道に派遣したその息子・建沼河別命(たけぬなかわわけのみこと)がこの地で出会ったのが地名の起こりと伝わる。その際、父子が国生みの神である伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)を祀ったのが伊佐須美神社の創祀とされ、560年に会津盆地南縁に遷座して現在にいたる。 早朝、そんな会津の聖地を訪れた。初夏にはアヤメが咲き誇る外苑の庭園から大鳥居をくぐり、表参道を進むと大き ...
第12回 愛猫ちゅ~る物語「2021年食べ納めのCIAOちゅ~る写真」 猫びよりプラス賞
Presented byいなばペットフード株式会社 「仲良くなるきっかけに」、「お薬を楽しく飲んでもらえるように」、「爪切りを頑張ったご褒美に♪」……など愛猫や顔なじみの猫と「CIAOちゅ~る」にまつわるエピソード&写真を毎号テーマを変えて大募集! ご応募いただいた方の中から選り抜きの作品を、猫びより公式HP「猫びよりプラス」にてご紹介。 その中から1名様を本誌『猫びより』、2名様を猫びより公式HP「猫びよりプラス」にて掲載いたします。掲載された方には賞品「CIAOちゅ~る」詰め合わせをプレゼント ...
【猫のお手入れ方法 】爪切り、目や耳のケアはどうする?
爪切り 本来猫は爪とぎによって古い爪をはがせるので爪切りは必要ないが、家具の爪とぎ被害や人間のケガ防止、またシニアになって自分でとげなくなった時などのために慣らしておくとよい。 ただ、爪切りを極端に嫌う猫は多いので、一度に切ろうとせずリラックスしている時に1本ずつ切るなどの工夫を。 家族がいれば抱っこしてもらっている間に切るとスムーズ。ひとりの場合は膝に抱くか、後ろから抱きかかえるようにする 用意するもの 猫専用の爪切りはさみ 1.刃がカーブしている方が上になるように持つ。 & ...