「往診」という選択肢が、高齢猫や病気の猫を救う!

往診先でエコー検査もできる。なんと心強い!

 

秋号キャットアラカルトでご紹介した橘湯のミケさん。具合が悪いとわかったとき、飼い主の堀田さんは悩んだ。番台歴10年以上の高齢で元野良、キャリーに押し入れて動物病院に連れて行くことは不可能だ。そこで、探しに探してたどり着いたのが「いろどり往診動物病院」。獣医師の中山舞先生が往診してくれるという。

 

往診時に的確に対応できるよう、コンパクト&システマチックに収納された診療器具一式

 

猫は嫌な予感を察する能力が高い。たとえいつもは大人しい猫でも、捕まえようとすると逃げ回ったり抵抗したりしがちだ。嫌がる猫を無理に動物病院に連れて行くことに、悩んだり疑問をもったりする飼い主は多い。さらに高齢猫となれば通院のストレスは増大するし、そもそも移動させるリスクも高い。

 

往診時以外にも、
気になる症状があれば動画を送って中山先生に診てもらうことができる

 

「猫が一番安心できる、自宅という環境で診療をしてもらえれば!」。そんな願いをもった飼い主に、中山先生は親身に寄り添ってくれる。診療器具一式を車に積んで自宅まで訪問。血液検査や尿査をはじめエコー検査まで各種検査が可能だし、注射や投薬などの処置から飼育・栄養指導まで、きめ細やかに対応してくれる。

 

終末期医療に力を尽くしたいという中山先生。
猫のほか、犬、うさぎの診察もOK

 

「いつものご自宅で、ゆっくりお話を聞かせてください。動物の診療は、その子を一番理解している飼い主様と獣医師の二人三脚です。『この子にとっての幸せとはなにか』という視点を大切に、治療プランを相談していきましょう」

往診での診察内容は、一般内科が基本だ。さらに癌や腎臓病など慢性疾患の場合には、皮下点滴・皮下注射、緩和ケア相談にも乗ってくれる。高齢で認知症や身体が不自由などの場合は、介護ケアもサポート。

 

橘湯の看板猫としてみんなに愛されたミケさん

 

「ただ、往診で行える処置には限りがあります。外科手術や専門性の高い治療が必要なときは、提携病院などをご紹介します。往診と動物病院にはそれぞれの長所がありますから、両方を併用しても、往診をセカンドオピニオンに利用していただいても大丈夫ですよ」

 

ミケさんの容態を聞いて駆けつけた中山先生。
ミケさんは移動の負担がなかったせいか、落ち着いて診察させてくれたという

 

やわらかい笑顔の中山先生に話しかけられると、気になっていたけれどなかなか相談できなかった悩みを何でも相談したくなる。小さな疑問にも的確に答えてくれ、飼い主の不安に道を示してくれる。

そんな中山先生に往診してもらった橘湯のミケさんは、最期まで住み慣れた環境で、大好きな堀田さんやスタッフに見守られて息を引き取った。

 

中山先生の患者で最高齢記録のらくちゃん。昨年末に23歳で亡くなる。
肺癌で酸素室を利用し、定期的に胸水を抜いていた。
散歩が 大好きなのでできる限り叶えてあげたいと、亡くなる数日前まで、
処置直後の楽になった短い時間、 飼い主さんに抱っこされて散歩に行っていたという

 

「病気であっても身体は楽なほうが良いですよね。できる限り好きなことをして過ごしたいし、大好きなおうちにいられる時間が長いほうが良い。動物たちはそう願っているのではないかと私は思っています。そして、家族が辛い顔をしている時間は少ないほ
うが良い。私は往診で、動物も飼い主も最期まで幸せな時間を過ごすためのサポートをしていきたいと考えているんです」

(文・写真 鈴木美紀)

いろどり往診動物病院
獣医師・中山舞 完全予約制・往診専門
TEL 070 -4436-2207
MAIL m.naka yama@irodoriah.net
往診範囲:東京都品川区・目黒区の全域
世田谷区・港区・大田区・渋谷区の一部エリア
診療時間:月~金曜9:00~17:00、土曜9:00~12:00
https://www.irodoriah.net

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往診獣医師協会HP
https://jhvca.main.jp

往診動物病院検索ページ
https://jhvca.main.jp/owner

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