この世界の片隅で、ネコ。EP:98『リードの数だけ』

最近リードを付けた猫をよく見かける。それについては賛否がわかれるところだが、まあ飼い主さんはその猫をとても大切にした結果なのだろう。

駄菓子屋さんの看板猫はしょっちゅう脱走するそうで過去、何日か失踪した結果、リードを付けられることになった。最初は不満げで何か言いたそうだったらしいが、文句は言えない。

普段は店内で飼い主のおじいちゃん・おばあちゃんと一緒にウトウトしながら店番をやっているのだが、昼下がりになると「ニャー」と鳴く。飼い主さんも「はいはい」と応じて店の隣の小さな公園へ。長いリードを店の窓にくくりつけて「自由時間」が始まる。

始めはゴロゴロ転がったり木で爪とぎをしたりアクティブに過ごすのだが10分もすると

「もう飽きた」

という感じでひなたでぐうぐう寝始める。なんかリードしてようがしてまいがあんまり変わらない様な…。

長いリードなのでしょっちゅう絡まる。最後は首を引っ張らるぐらい短くなる。そうなると「ニギャー」と鳴き飼い主さんが「はいはい」と公園にやってきてリードをほどき「自由時間」は終了。すごすごと帰っていく。

Yさん家の虎太郎は手の付けられない暴れん坊猫だ。特に人間・猫問わず余所者が嫌いで、いつかなんかは手を強く噛まれた。Yさんは

「僕もしょっちゅう噛まれるよ、飼い猫に手を噛まれるだね、わはは」と笑う。

だけど散歩の時間。リードを付けてもらい町内を散歩するのだが、当の虎太郎の様子がおかしい。いざYさんと外出すると途端に速足になる。途中、散歩中の犬とすれ違うのだが明らかに怯えている。目をあわせず通り過ぎていつもの公園へ。だが、ここではリラックスして気持ちよさそうにゴロゴロ転がっている。「帰るよ」と言ってもなかなか動かない。

帰り道。向うから三毛猫が歩いてくる。虎太郎と顔なじみなのか近づいてくる。だが虎太郎、くるりと踵を返し公園へ戻ろうとする。三毛猫がどんどん近づいてくる。すると虎太郎、三毛猫に向かって「フーッ!!」と威嚇するではないか。三毛猫、どうするかと思ったら軽く猫パンチ!!虎太郎、涙目(に見えた)。ああ、弱い猫ほど良く吠える…。

そして帰宅。リードを外してもらい自由に動けるようになる。Yさんが頭を撫でようとするとさっきの鬱憤を晴らすようにポカポカ!!と猫パンチ。

いつもの虎太郎に戻る。内弁慶なのね、君は…。

リードを付けるには猫一匹一匹に各々の事情があると思う。それは飼い主さんが愛情を持って考えた上での選択だ。だから僕は猫から自由を奪っているとは思わない。

リードの数だけ「愛」があるのだ。

写真・文 横尾健太
Twitter 猫島警部 @nekojimakeibu

熊本市在住。1999年より細々と猫写真を撮り始めて今では太々と猫に浸かる。2016年熊本地震で被災、一時的に東京へ避難。その先で様々な人と猫に癒されお世話になる。「ネコまる大賞」「猫の手帖キャネット大賞」「よみうり写真大賞ファミリー部門季節賞」受賞。使用機材:通常はニコンのD800、旅先はペンタックスのKP、夏はニコンのnikon1 J5。でも機材にこだわりはありません。

プロとはそれで生活できる人だと思うので、アマです。なにもかも脇が甘い性格。写真におけるスタンスは皆無です。猫さまを見ると興奮して「あ、あ、あ」となり何も考えずにシャッター切ってます。「猫を使って金儲け」よりも「金を使って猫儲け」したいな。いろんな猫に出会いたいです。

-猫びより
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