猫びより

この世界の片隅で、ネコ。EP:93「目は口程に物を言う」

2020/08/03

facebookでシェア ツイートする LINEで送る

何かを伝えたいとき。人間は話す。だが猫は喋れないぶん、いろいろな手段で伝えてくる。

猫同士の場合、多いのが「アイコンタクト」。

ちらっと相手に視線をやるだけで相手の意図がわかったりする。

とある神社にハチノコと呼んでる猫が、初めて見る猫と一緒にいた。どうやら友達のようだ。

僕はそちらに近づいていく。ハチノコが足にスリスリしてきた。挨拶。こんにちは。

だけど初めて見る猫は脱兎の如く駆け出した。ごめん、そりゃ怖いよね、ニンゲン。

友達は神社の端っこまでニンゲンから逃げていた。しかし気になるのかずっとこちらを見てる。

僕はハチノコの頭をナデナデ背中をナデナデしていた。気持ちよさそうにゴロゴロいっている。ちょっと端っこにいる友達に見せつけたかった意図もある。

「どうだい?こっちへおいで!楽しいよー」

ニンゲンはギロリッと視線を送った…が、ビクッとされてしまった…。ますます遠ざかる距離。

しかしその時だ。ハチノコはじっと友達を見つめアイコンタクトしている。

すると。

ニャーンと鳴きながら友達がこちらへ走って来るではないか、凄い!

以心伝心。もちろんハチノコと友達が育んできた友情にも拍手だが。

ちょっと自慢げに僕の顔を見るハチノコ。両手に猫で嬉しくなる。ナデナデ×2。あの視線は「このニンゲンはイヤな事しないよ」という意味だったのかもしれない。

友達猫は視線にちなみ”アイ”ちゃんと呼ぶことにした。その後もアイちゃんは何度もハチノコに視線を送る。その度にハチノコも視線を返す。

「このニンゲン、怒ったりしない?」

「このニンゲン、安全なの?」

「このニンゲン、また来るの?」

なんて視線で語っているのだろうか。怒らないし安全です、そしてまた来るよ。

話せなくても、言葉じゃなくても思いは伝わるんだなぁ。

いや、むしろ言語を介さないからこそ嘘がつけないし意図が明確に伝わるのかもしれない。ニンゲンの言葉のやりとりなんかよりずっと誠実で正直だ。

あくる日。ラーメン屋さんで注文をとってもらおうと店員さんに視線を送ってみる。ジーッ…。

忙しそうな店員さん。何度か試みたが…しかたない、すみませーん!結局、声かけちゃった…。

猫から教わることはたくさんある、知れば知るほどに。まだまだ勉強させてもらう事は山ほどある。

TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO