東京・銀座の画廊にはガラス張りになっていて、通りを歩きながら絵が見られる画廊が何軒かあります。シルクランド画廊もそのひとつ。この日は恒例の猫のグループ展を開催していて、外堀通り側の壁には大きな猫の絵が架かっていました。
キャプションを見ると、作者は日本画家・丸山友紀さん。動物画を得意とする実力作家。繊細でかわいい絵はこれまでも沢山見てきましたが、野生的で強そうな猫を描く印象はありませんでした。この絵は楽しげで華やかでありながら、迫力もたっぷりです。
線描を活かした独自の女性像で知られる日本画家・松谷千夏子さんは大の愛猫家であり、特に近年猫を好んで描いています。この展示では、女性が猫を抱いている絵を出品されていました。姿勢、表情、毛並みが猫好きにはたまらないのですが、猫を大事そうに抱える女性の腕や手も表情豊かで愛を感じました。
小熊サトイさんは、絵の主役である猫をきっちりリアルに描きながら、背景を様式化する表現がとても面白かったです。緻密に描かれた黒猫にも惹かれましたが、満開の桜も力強くてリズミカルで見応えがありました。
猫の絵で名高い秋吉由紀子さんの絵はどれも静謐で、どの絵も猫がリラックスしてそこにいるような感じがありました。どこか浮世離れしたファンタジックな世界観にも見えるのですが、同時に絵を通じて猫の丸みや柔らかさを再認識させれました。
画面全体に柔らかなあたたかみが満ちていたり、華やかな装飾性や様式美にハッとさせられたり、墨が効果的に使われていたり、構図が絶妙でドキッとさせられたりなど、それぞれの作家、それぞれの絵にさまざまな魅力と見応えがありました。そして総じて思ったのは、猫ほど絵になる生き物はいない、ということ。猫は最高です。
ひねもすのたり 猫展
シルクランド画廊(東京・銀座)
2024年3月10~30日
https://www.silkland.co.jp