美術のなかの猫たち 日本最大のアートイベントで猫さがし アートフェア東京2024

アートフェア東京は毎年恒例の日本最大級のアートイベント。老舗からコンテンポラリーまで日本を代表する画廊や海外のギャラリーがブースを連ね、工芸や骨董・古美術を扱う美術商も参加する幅広さが醍醐味です。

ギャラリー玉英ブースより

そして毎年猫をモチーフにした作品が出てくるので、広い会場で猫探しを楽しめます。毎年さまざまな出会いがあるのですが、川井徳寛さんの2枚の絵は大変衝撃的でした。

西洋古典絵画の技法に精通した川井さん。猫がちょうど使徒と同じ12匹というのも楽しいのですが、一々芸が細かいのです。古いキリスト教絵画では、聖人や天使などの頭の後ろに「光輪」と呼ばれる眩い光が金箔で表現されるのですが、川井さんはそこに肉球をあしらっているのです。

そして右端では首を机の端にすりつけるという猫の日常的な動作も再現。

ギャラリー玉英ブースより

こちらも猫たちに光輪が見られ、中に文字が書かれているのですが、見慣れない言語で意味がわかりません。しかしよく見ると右奥に「ニャー」の文字が。実はこれ各国語で書かれた猫の鳴き声だったようです。

 

東京画廊ブースより

彫刻家・瀧本光國さんの木彫は、歌川國芳の猫がモチーフ。仏像修復でも著名な作家だからでしょうか。単にかわいらしいだけでなく、猫らしい荒々しさと神々しさが同居したような奥深い魅力がありました。

 

Gallery Seekブースより

疋田正章さんはもともとリアルな猫の絵に定評のある画家なのですが、今回はコンセプトがはっきりした現代的な絵を出展していました。例えばこの絵。猫という私たちにとって身近な動物と、同じく身近な信号の色である赤黄青を構成していて、背景の色とパートによって猫の印象が変わるのが面白かったです。

 

瀧屋美術ブースより

こんなふうに猫を求めて会場を歩いていたら、ある画廊のブースのテーブルの上に、何気なく一体のブロンズ像が置かれていました。ロンドン、パリに留学して戦前・戦後に活躍した木内克の作品でした。猫の動物としての肉体美が凝縮されたような見事な彫刻でした。

来年もここでどんな猫と出会えるか、とっても楽しみです。

アートフェア東京2024
東京国際フォーラム(東京・有楽町)2024年3月8日~10日
https://artfairtokyo.com

-猫びより