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ゆるりと猫と遊んで、しっかりと猫助け

「こういう時計もあったなぁ」と思う、昔ながらの時計と松の絵を背景に決まる猫さん

―猫を浴びる。日光浴や森林浴のように、猫まみれになることで、心も体も健やかになる「ねこ浴」をコンセプトにした保護猫カフェ「ねこ浴場」が、心斎橋にオープンしたのは2019年7月。

猫が大好きな「高さ」を工夫した店内。のびのびとした猫たち

「富士山と猫」は撮影スポットとして大人気。カフェ代は保護猫活動に寄付されます

扉を開けると、そこは昔なつかしの昭和の世界。猫たちが過ごすスペースの壁に描かれた大衆浴場さながらの富士山や松、鶴は迫力タップリだ。畳で寝ころんだり、足湯を楽しみながら、猫を家族として迎えたい人たちと保護猫たちが、互いにリラックスして出会う場となっている。

もともと心斎橋近辺の飲み屋の店主たちは仕事明けに、前日に飲み過ぎた(?)界隈の勤め人は二日酔い覚ましに、朝風呂を浴びるための馴染みの銭湯へ通う風習があったゆえ、じっさいの銭湯ではなくても、この地でねこ浴場という店名は、誰にとっても妙にしっくりくる。

ねこ浴場を運営するのは、猫助け事業の先駆けである「ネコリパブリック」。2022年2月22日までに日本の猫の殺処分ゼロを目指し、現在は全国に直営や共同運営の4店舗の猫カフェや、フランチャイズ店を展開している。昨年はねこ浴場で45匹、4店舗で計336匹の猫たちが、新しい家族を見つけることができた。

花立 奈津実さん(左)と、スタッフを務める久保田麻美さん

「東京はコロナによる在宅勤務などで、猫を迎える家族が増えていると聞きますが、当店ではコロナでなにかが大きく変わったことはありません。ただ近辺の賃貸物件は、今も昔もほぼペット不可です。猫を飼えないけれど猫と触れあいたい近所の方々がご来店し、『やっぱり猫と暮らしたい』と、ペット可の物件に引っ越されることへは、この場が後押しになっていると感じます」とは、副店長の花立奈津実さん。とくに引っ越しシーズンである4月や5月は、里親さんが増えるという。

「いろいろな猫ブームを経て、今は重要な過渡期のひとつ。保護猫活動を続けている側からだけではなく、テレビやさまざまなメディアも、『猫を飼うのならペットショップからではなく、保護猫を』という意識の高まりを報道するようになりました」と話す。

ねこ浴場には、併設する江戸風の「ねこ旅籠」もある。猫を眺めながら、猫に眺められながら、眠りに就ける世界初(!)の宿泊施設で、ねこ浴場が営業時間を終えた後には、猫をお世話する体験もできる。

ネコリパブリックの新しい取り組みは「猫生☆助け合い制度」。これは飼い主さんに万が一のことがあった場合、ネコリパブリックが猫を預かり、責任を持って新しい家族を探す制度だが、保護猫活動と飼い主さんが連携することで、里親として敬遠されることが多い一人暮らしの人たち(とくに男性)などにとっても、猫と暮らすチャンスになっている。猫の温かみとともにある幸せな生活の裾野は、着実に広がっている。

(文・写真 堀晶代)
 

ねこ浴場
住所:大阪府大阪市中央区島之内1-14-29
TEL 06-4708-3889 営業時間:平日12:00~21:00
土日曜・祝日12:00~20:00 定休日:なし
https://www.neco-republic.jp/necoyokujo

堀晶代
日仏を往復するワイン・ライター。著書に『リアルワインガイド ブルゴーニュ』(集英社インターナショナル)。大阪でともに暮らす2匹の猫の年齢差は14歳。年齢にあったお世話に悩む日々。

-猫びより

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