猫びより

この世界の片隅で、ネコ。EP:50「法事」

2019/02/02

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「法事」

梅が好きだった猫。

その名もウメさんが梅の木の下に埋葬され、それから数えて6回、梅が咲いた。

地震にも台風にも害虫にも猛暑にも耐えて毎年、2月になると美しく咲く。

もう6年も前だ、ウメさんの事を知る猫はミケばあちゃん以外いなくなってしまった。そのミケばあちゃんも最近、姿を見かけないので心配していた。

この梅の辺りにはなぜか猫がよくやってくる、陽当たりの良い場所にある事もあるが。

2月の暖かい日和、綺麗に咲いた梅の下で居眠りできる。

皆から慕われていたウメばあさんが埋まっている梅だ。人気があるのも頷ける。今年も梅が咲くのを心待ちにしていた。僕の好きだった猫、ウメさんに会える!

レイちゃんやクロ、エイトくん、チャトラン、色々な猫がやって来るはずだ。特にクロにとっては初めて梅を見る事になる。

しかし毎年律義に暦通りに咲いていた梅がなかなか咲かない、おかしいな…。もしかして枯れてしまったのか…。

クロは梅の枝先をクンクンしている。はやく咲かないかなー、とでも言うように。

十日後、やっと満開になった。ああ、よかった…。

そして。梅の木の隣にあるサザンカ、その葉に隠れる様に…ミケばあちゃんがいた!

“最近いないから心配してたんだよ~”と近寄ると仕舞い忘れた舌がチロリと見えた。無事で何よりだ。

ああ、もしかして。

ウメさんは旧友のミケばあちゃんが来るのを待ってたんだろうか。

「ミケばあさんはどうしたのかのう?」

と。

だからウメさんの埋葬された梅は異例の遅咲きなのか。それとも…遅めだっのは、ウメさんが単に寝坊したからなのかな…。

クロは初めての梅見、”わぁ!”と楽しそう。そして他の猫と同じく、居眠り。気持ちいいだろうなー。

新しい命へと受け継がれる梅。ウメさんの七回忌はこうして幕を閉じた。

text&photo/Kenta Yokoo