芳澤ルミ子のぶらにゃんこ 第9回

港でくつろぐ貫禄たっぷりのボス猫の名は「ロース」

有明海に浮かぶ猫の島へ。ぶらっと……のつもりが、遠かった!

熊本空港からリムジンバスで熊本駅へ。「超快速あまくさ号」のバスに乗り換え、道の駅「上天草さんぱーる」で降車。江樋戸港まで歩いて、連絡船(1日5往復)に乗り、はるばる憧れの「湯島」です。

熊本県上天草市の小さい島。島民たちより数が多いと言われる猫たちがのんびり暮らしている

1637年、当時16歳だった天草四郎は、海の上を歩いて湯島に渡って来て作戦会議を行い(湯島は別名「談合島」とも呼ばれている)、後の「島原の乱」へと突入していったといわれています。いよいよ着岸!

「島にはキリスト教信者が多いのですか?」

船着き場すぐ、売店のお姉さんに尋ねると、「仏教徒ばかりよ」と、猫まみれで笑います。

湯島が猫島として人気に火が付いたのは、熊本日日新聞の夕刊に連載された人気連載がきっかけです。

写真部記者が愛情あふれる目線で人と猫の共生に焦点を当てた記事で、SNSでも話題となり、2018年、写真集『猫島ありのまま 上天草・湯島』になりました。

これに続きテレビや雑誌に取り上げられて益々知名度が上がり、今では日本各地だけでなく海外からも猫を目的に人が訪れるように。

猫のことなら、地域おこし協力隊の林愛子さんに聞け!(Instagram:cat_island_traveler)

『猫島ありのまま』で湯島を知り、心惹かれた林愛子さん(44歳)は地域おこし協力隊として埼玉県から移住。猫との共生に関する対応の支援、観光活性化への取り組みを担当し、現在、精力的な活動をしています。

「ねころび募金」を設置し、寄付金で怪我や風邪などの猫には獣医師さんの協力のもと薬の投与、寄生虫予防、適正管理のための避妊去勢手術を行うようになりました。

「Amazonほしいものリストから支援物資を寄付してくださる方もいらっしゃいます。」

昨年の始め、感染力・致死量の高いウイルス性の伝染病が蔓延し約100匹の猫が犠牲になったことを受け、現在約8割の猫がワクチン接種済となっています。

島のみんなに愛され、のびのびと暮らす猫たちは懐っこくて個性豊かでフォトジェニック。

たくさんの猫好きさんに、もっともっと湯島の猫達の魅力を味わってもらいたい!

懐っこくて甘えん坊の猫たち

ほっこり、職人さんのブレイクタイム

三毛猫姉妹のバックシャン

名前はオバケ。ひっそりと佇んでいた

猫のお世話をしている島民の古賀頴吉さんのお庭。手作りの立派な猫小屋、大きな猫ちぐらもある


 
芳澤 ルミ子
カメラマン。1972年生まれ。独学で写真を学び猫撮影を中心に活躍。猫の自然な姿と個性を捉えた写真を得意とする。著書に『ネコの裏側』(辰巳出版)、『にゃんたま』『開運酒場』(自由国民社)。

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