この世界の片隅で、ネコ。EP:40「猫パンチ」

「猫パンチ」

青い瞳をした猫と、そのボディーガード役の猫。高貴なふたり。

とある事をきっかけに庶民になったのだが…。

庶民にボディーガードは必要ないのか、それぞれ単独行動が多くなった。青い瞳の猫は、だいたいお寺の境内でだらしなく眠っている。

ボディーガード猫は…日がな女の子を追っかけている。だがまったくモテない。

「うまくいかないな」

と言いながらカメラを向けると猫パンチをくらう。さすがボディガードだ。

「仕事しろよ」

そう言うとまた猫パンチ。

「暴力反対」

またまた猫パンチ。ただの乱暴者じゃないか…。

ある日、ボディガードは三毛猫を追っかけていた。だがやはり嫌がられている。もうついてこないで!と言わんばかりの強烈な猫パンチをくらう。あーあ。

少しかわいそうになったので優しいトーンの声で「まあまあ落ち込まないで」と言うとパフッと猫パンチ。あれ、パフッ?少し手加減されてる。

単に顔を憶えてくれて手加減したのか、三毛猫にくらった猫パンチで痛みがわかったのか。

今度はハッハッハッと笑いながら
「おまえモテないなぁ」
と言うとバシッ!いつもより強い猫パンチをくらった気がした…。

あくる日。違う女の子を追いかけ、また猫パンチをくらっていた。やれやれ。

text&photo/kenta Yokoo

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