猫びより

この世界の片隅で、ネコ。EP:44「秋桜」

2019/01/12

facebookでシェア ツイートする LINEで送る

「秋桜」

古ぼけた地蔵堂の隣に家一軒分ほどの空き地があった。秋には一面、色とりどりのコスモスが咲き誇る。

まさに秋の桜だ。

ここは土がむき出しになっているので猫たちの集会所のようになっている。

いろいろな猫がやってくる。

それぞれ花を愛でるようにコスモスをうれしそうに眺める。おなかにハートがあるハートちゃんとシャムネコもどき、ふたりの女の子はコスモス畑で何か語らっている。

恋愛トークだろうか。

ボス争いをしているハチワレも地区最弱のハチも顔を出す。ここはこの地区の猫にとって重要な場所だ。

そのコスモス畑にアパートが建つ話が持ち上がった。熊本地震以降、住宅は需要過多なのだ。何回か不動産屋が視察に来た。

そして突貫工事でアパートは出来上がった。猫たちは困惑気味にアパートの近くに来ては、あきらめて帰っていく。

みんなあのコスモスを思い出しているのか。

時が経ちが猫たちの集会所は近くの廃屋に移ったようだ。あの空き地。コンクリートで固められた地面。

しかし一輪のコスモスがコンクリを破って咲いていた。いわゆる”ド根性”系だ。

そのピンクのコスモスの花言葉は「乙女の愛情」。

コスモス畑で愛を語らっていたハートちゃんとシャムモドキはその後、出産した。

秋桜を愛した彼女たちだ。花言葉通りに子猫たちに愛情を注いでいるだろう。愛情たっぷりに育てられきっと優しい子になるだろう。

そうそう、白いコスモスの花言葉は「優美・美麗」だそうだ。

いまから子供たちの成長が楽しみだ。

text&photo/Kenta Yokoo