「猫の穴」
なぜかそこにいけば猫がいる。
そういう場所がある。
猫一匹がちょうど入るくぼみがある大きな石が古い寺社跡地に鎮座していた。
そこを「猫の穴」と呼んでいた。
茶トラにとってお気に入りの場所だ。夏にはペタンと磁石の様にひっつく。
石の感触がヒンヤリするのだろう、快適そうだ。それに狭いところが好きな猫にピッタリの大きさだ。
夏には茶トラがほぼ独占する。
キジ白は雄猫に追っかけられて隠れるために入った。
まるで塹壕だ。
けれどその時の経験からだろうか、気が付くとひっそり穴の形に添って昼寝していたりする。
茶猫は自分の体とピッタリなサイズなので、いろいろ試して遊んでいる。
ステーンと転がってみたり、無理矢理せまいところに体を押し込んだりしている。
楽しそうだ。
ハチワレはおっかなびっくり穴に入ってみた。
肌ざわりなどを細かくチェックする。
同行のシャムに「どんな感じ?」と聞かれ
「最高!」と言ったかはわからないが、ちょくちょく来ている。
他にもいろんな猫が来てはとりあえず穴にはまる。
そして心地よい感触や丁度いい大きさにハマる。
大きな石のくぼみ。
まるで猫の為に専用設計されたように、彼らのツボを刺激してやまない。
人間にもこんなスポットあればいいのになぁ。
text&photo/Kenta Yokoo