「なにもしませんむ」
繁華街の一本裏におしゃれな店や飲食店が並ぶ通りがある。その通りに多くの飲食店を経営されている方がいる。
その方の飼い猫が「チャーちゃん」。
よくチャーちゃんには写真を撮らせてもらっていた。
落ち着いていていい猫。ご主人もたいへん良いお人柄だ。
その端正な顔立ちからお金持ちのボンボンかと思いきや、よく木に登って虫を採ったりしてるヤンチャ猫。
晴れた日にはよく近隣にパトロールに出ている、地区の顔役的存在だ。
ところで。
猫の撮影をした後は必ず、上述のご主人が経営するラーメン屋に夜ごはんを食べに行く。
そして、そのラーメン屋に「求人!」の文字とともに、
「猫の手より人の手」
「猫の手は足りてます」
というポスターが、見た事のある猫の写真と共に貼ってあった。
更に一番下には
「吾輩はチャーちゃん。肩書:何もしま専務!」
と書いてある。
…思わず苦笑してしまった。
一度、自分が専務を務める店に視察(?)に訪れたのを見て、これも苦笑してしまった。
「なんだ専務、肩書以外の仕事もしてるんだね。えらいえらい」
そう言ってみると、わかったような顔をして自分の店に匂いをつけ、次の視察先に消えていった。
またチャーちゃんのラーメン店を訪れたくなった。
クセになるおいしさです。
text&photo/Kenta Yokoo