猫を飼うときに注意したい病気と治療・予防法┃病気の早期発見のために

病気の中でも、「猫から人にうつるもの」や「猫がかかりやすいもの」などには 特に気を付けたい。ここではその代表的なものを紹介していきます。

猫から人にうつる主な病気

猫ひっかき病

その名の通り、猫にひっかかれることで起こる。傷に一番近いリンパ節が腫れたり熱が出る。ノミが持つ細菌「バルトネラ菌」が原因(すべての猫が感染しているわけではなく、約1 割程度の猫が感染しているといわれる)。猫からノミを駆除することで予防できる。

猫ノミ・ダニ

猫に寄生したノミ(P40)やダニが吸血することでかゆみが出る。アレルギーが出ることも。外猫を保護した場合や、内外飼いをしている場合などは寄生している可能性があるため、病院で処方される滴下薬で早めに駆除することで予防できる。

パスツレラ症

人間の免疫力が落ちている時に猫に噛まれることで呼吸器疾患やリンパ節の腫れなどが起こる。猫の口腔内の化膿菌「通性嫌気性菌」が原因。噛まれないようにすることで防げる。万が一噛まれた場合は傷口を消毒液で絞り出すように消毒する。傷が深い場合は病院へ。

猫がかかりやすい病気

口の病気

口内炎
症状・原因
口内の粘膜に赤み、ただれや潰瘍ができる。口臭が強くなりよだれが出る。ウイルス感染による免疫力低下や歯石の蓄積、栄養不足などが原因。
治療・予防
抗生物質や抗炎症剤を投与。定期的な歯みがきで予防。

歯周病/虫歯
症状・原因
細菌の塊である歯石が原因で歯肉が赤く腫れて出血したり、歯槽骨にまで炎症が及ぶ。進行すると食べられなくなり、口腔内細菌感染症は内臓疾患を引き起こすことも。
治療・予防
歯石除去や抜歯、抗生剤などで炎症を抑える。

目の病気

結膜炎
症状・原因
まぶたの内側の粘膜が炎症を起こし、目の充血、目ヤニなどの症状が出る。目をしきりに掻く。異物や細菌感染が主な原因。
治療・予防
抗生剤や点眼薬で治療。

角膜炎
症状・原因
外傷や感染症が原因で、目の表面を覆う角膜に炎症を起こす。まぶしがったり目を頻繁にこする。傷が深いと失明の恐れも。
治療・予防
抗生剤や点眼薬で治療。

緑内障
症状・原因
目の外傷や腫瘍、猫白血病ウイルス感染症などが原因で眼圧が高まり眼球が飛び出す、痛みで目をこするなどの症状。視神経や網膜に傷が付き、ひどい場合は失明の恐れも。
治療・予防
薬や手術で眼圧を下げる治療と平行して原因となる病気の治療を行う。

耳の病気

外耳炎
症状・原因
かゆみや痛みでしきりに掻く。細菌やカビ、耳ダニなどが主な原因。
治療・予防
抗生物質や抗真菌剤、駆虫剤など原因に応じた点耳薬で治療する。

鼻の病気

鼻炎
症状・原因
鼻水やくしゃみ、目ヤニなどが出る。主にウイルス感染で起こる。他にも、細菌や花粉、ハウスダストなどのアレルギーが原因の場合もある。
治療・予防
ワクチン接種でウイルス感染を予防するほか、抗生物質の投与など。

副鼻腔炎
症状・原因
鼻の奥にある副鼻腔が炎症を起こし、鼻水やくしゃみ、進行すると口呼吸になり食欲低下を招く。
治療・予防
ワクチン接種でウイルス感染を予防するほか、抗生物質の投与など。鼻炎に似ているが侮らず早期治療を。

皮膚の病気

皮膚炎
症状・原因
主にノミによるアレルギー性皮膚炎。その他、カビやダニ、花粉などが原因の場合も。
治療・予防
アレルゲンの駆除と投薬で治療。

猫挫創(ざそう)、スタッドテイル
症状・原因
いわゆるあごニキビ。下あごに皮脂や汚れ、細菌が元でできる黒い粒が出る。悪化すると炎症に。スタッドテイルはしっぽの付け根が大量の皮脂でべたつく症状。
治療・予防
定期的なシャンプーで皮膚を清潔に保つほか、専用の薬も。

皮膚糸状菌症
症状・原因
皮膚のカビ(皮膚糸状菌)が原因でかゆみをほとんど伴わない円形脱毛が見られる。免疫力が低下している時にかかりやすく、犬や人にも感染する。
治療・予防
抗真菌剤で治療、室内を清潔に保つことで予防。

生殖器などの病気

乳腺腫瘍
症状・原因
いわゆる乳がん。乳腺にしこりができる。猫の場合はその多くが悪性といわれ、転移もしやすいので早期発見・早期治療を。
治療・予防
手術による切除、放射線治療など。

子宮蓄膿症
症状・原因
細菌感染で子宮に膿が溜まる病気。食欲低下、下腹部が膨らみ多飲多尿になるなどの症状。再発しやすいので早期発見・早期治療を。
治療・予防
卵巣と子宮の摘出手術。避妊手術で予防できる。

泌尿器の病気

尿結晶症
症状・原因
膀胱内に結晶ができるため、尿に結晶や血が混じる。トイレに行くが排泄できないなどの症状。オスに見られ、尿道閉鎖を起こすと、尿毒症にかかり命の危険も。
治療・予防
結晶を取り除く治療のほかに水分を多く含んだ食事に切り替えるなど。日頃から適度な運動と、水を摂らせる工夫を。排尿異常が見られたらすぐに病院へ。

腎不全
症状・原因
老化のほか、ウイルス感染や免疫疾患などの病気で腎臓機能が低下し老廃物を排出できなくなる。進行すると尿毒症を起こして死に至る。
治療・予防
一旦かかると進行を遅らせる治療しか手がないため、飲水量や尿の量が増えるなどの初期症状を見逃さず、早期発見・早期治療が鍵となる。

膀胱炎
症状・原因
頻尿になる、茶褐色や血の混じった尿が出るなど。
治療・予防
排尿異常や、腹部を触ると痛がるなどの症状が見られたらすぐに病院で検査を。

呼吸器の病気

肺炎
症状・原因
咳、高熱、鼻水などの症状。猫カリシウイルスなどのウイルス感染に2次感染が起こり悪化する。進行が早く、呼吸困難を引き起こすなど重篤になりやすいので早期治療が重要。
治療・予防
抗生剤や抗真菌剤などを投与し吸入療法なども行う。ワクチン接種でウイルス感染を予防する。

消化器の病気

胃腸炎
症状・原因
猫汎白血球減少症などのウイルス感染で起こることもある。嘔吐や激しい下痢を起こす。脱水症状を起こして命の危険も。
治療・予防
日頃の食生活の管理、ワクチン接種でウイルス感染を予防する。

巨大結腸症
症状・原因
重症の便秘が続き、食欲低下、嘔吐、脱水などが見られる。腸の機能低下などで結腸に便が留まることで起こる。
治療・予防
投薬のほか、下剤などで治療。排便異常が見られたり、便秘が続く場合は検査を。

膵(すい)炎
症状・原因
嘔吐、下痢。慢性の場合は症状が出にくい。
治療・予防
消炎剤などの投与に合わせ、併発の病気治療や食事療法など。

心臓の病気

心筋症
症状・原因
特に多いのが、心臓の筋肉が厚くなる肥大型心筋症。血栓ができたり心不全や呼吸困難を起こして死に至る。
治療・予防
予防法はなく根本治療は難しい。心不全の治療をする。

内分泌の病気

甲状腺機能亢進(こうしん)症
症状・原因
甲状腺ホルモンの過剰分泌で起こる病気で、過食なのに体重が減少する、多飲多尿、急に元気になったり攻撃的な性格になったりするなど。シニア猫に多く見られる。
治療・予防
早期発見・早期治療が鍵。症状に気づきにくいので、少しでも異変を感じたら病院へ。

糖尿病
症状・原因
インスリン不足により血糖値が上昇する。多飲多尿、嘔吐や脱水、食べるのに痩せるなど。シニア猫や肥満猫がかかりやすい。
治療・予防
インスリン注射、療法食などで治療。日頃の食事管理、運動不足解消で予防。

感染症

猫免疫不全ウイルス感染症
症状・原因
猫エイズ。主に喧嘩などの血液感染や母子感染により感染。症状が見られない「無症状キャリア期」といわれる潜伏期間を経て発症する。免疫機能の低下で口内炎や鼻炎などさまざまな慢性症状や悪性腫瘍などにかかりやすくなる。
治療・予防
治療法は対症療法のみ。ワクチン接種で予防できる。

猫伝染性腹膜炎
症状・原因
猫コロナウイルスに感染することで腹膜炎を起こす。食欲不振、嘔吐、下痢、脱水、腹水が溜まるほか、神経や目に炎症が出るタイプも。感染力は低いものの、発病後の死
亡率が高いので要注意。
治療・予防
治療法は対症療法のみ。完全室内飼い、他の猫との接触を防ぐことで予防。

猫ウイルス性鼻気管炎
症状・原因
感染した猫のくしゃみなどから飛沫感染する。発熱・くしゃみ・鼻水・目ヤニなどの症状で、子猫や老猫は死に至ることも。
治療・予防
ワクチン接種で予防できる。

猫カリシウイルス感染症
症状・原因
初期は猫ウイルス性鼻気管炎と類似している。口内炎や舌炎ができ、食べられなくなるだけでなく、放置すると肺炎から死に至ることも。
治療・予防
抗生剤などを投与。ワクチン接種で予防できる。

猫汎白血球減少症
症状・原因
別名・猫伝染性腸炎。感染した猫の排泄物などから感染する。高熱や激しい下痢、白血球の急激な減少など。特に子猫は致死率が高い。
治療・予防
抗生剤などで治療。ワクチン接種で予防できる。

猫白血病ウイルス感染症
症状・原因
唾液や血液感染のほか、母子感染する。免疫不全などを起こし、口内炎、敗血症、肺炎を起こすほか、白血病やリンパ腫になりやすい。発病すると回復しない。
治療・予防
ワクチン接種で予防できる。

猫クラミジア感染症
症状・原因
クラミジアが目や鼻から入り感染する。結膜炎・くしゃみ・鼻水・口内炎・舌炎など、粘膜に炎症を起こす。人に感染することも。
治療・予防
ワクチン接種で予防できる。

寄生虫

猫回虫
症状・原因
母猫から感染し消化管に寄生。白くて細長い(5~10cm)回虫が便や嘔吐物と一緒に出てくる。
治療・予防
駆虫薬で駆虫。

条虫(じょうちゅう)
症状・原因
ノミから感染する瓜実(うりざね)条虫のほか、カエルや蛇を捕食して感染するマンソン裂頭条虫など。腸内に寄生し便とともに片節が排出。
治療・予防
駆虫薬で駆虫。

疥癬(かいせん)
症状・原因
猫小穿孔(しょうせんこう)ヒゼンダニが皮膚の中に穴を掘って寄生。激しいかゆみでかきむしるため、皮膚の肥厚、かさぶたやフケ、赤みなど。耳の中に寄生する耳疥癬も。茶褐色の耳垢が大量に見られたら要注意。
治療・予防
駆虫薬で駆虫。

フィラリア
症状・原因
蚊が媒介して感染。心臓と肺動脈内に寄生する。咳や呼吸困難の症状や突然死する場合も。
治療・予防
診断・治療ともに困難なため、蚊が発生する時期に月1 回の予防薬で予防。

その他

肛門嚢(のう)炎
症状・原因
肛門腺の分泌物が詰まり、細菌感染などの炎症を起こす。悪化すると破裂する場合も。
治療・予防
抗生剤の投与と患部の洗浄消毒。お尻を擦って歩いたり気にする様子が見られたら早めに診察を受けることで予防可能。

 

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監修:南部美香
文:高橋美樹 イラスト:おかやまたかとし

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