美術のなかの猫たち│猫愛たっぷりの写実絵画 伊勢田理沙さん個展

愛猫のぐり(左・♀)とぐら(♂)をモデルにした「阿吽」(写真提供・伊勢田理沙)

気鋭の写実画家・伊勢田理沙さんが日本橋三越で個展を開きました。

伊勢田さんは美術界屈指の猫好き。受付には保護猫と暮らすことを推奨する自作のパンフもあり、のっけから愛が溢れます。

伊勢田さんは正確なデッサン力と丁寧な描写で若くして高い評価を得てきました。得意なモチーフは女性像と猫。どんなモチーフも確かな技術できっちりと描くのですが、猫は特に筆遣いがあたたかくて描写が細かく「この人は猫が大好きなんだな」というのが伝わってきます。

会場風景。女性像の細部にも猫が隠れているから油断なりません(写真提供・伊勢田理沙)

印象的だったのは、100号(162×130cm)の大作。編み物をする女性が絵の主役なのですが、猫の存在感がはんぱないのです。

100号の大作。人物は猫を見ているのに猫は斜め上を見ています

わざわざロウソクの光が一番よく当たる場所に座らせて、さらに人物の視線も猫に向けることで、見る人の視線を猫に誘導しているように思われました。まるで「この美しい生き物を見てください!」と言っているかのよう。

他の作品も非常にハイクオリティでしたが、猫の絵はそれぞれの性格や生き様まで垣間見えるようでした。

故郷・佐賀で出会った猫。外で会った時の距離感も見逃さず描く

 

今回の個展では風景画も。ここでも猫の存在感が際立つ

伊勢田理沙個展「清きひととき」
日本橋三越本店 美術特選画廊(東京・日本橋)2023年10月4日~9日
取り扱い画廊:SASAI FINE ARTS
https://sasaifinearts.com

-猫びより