自然に囲まれた静かな山の麓に建つ龍岳院。山門の屋根の梁に茶トラの猫がいて、本堂へと案内してくれた。
住職の山﨑章秀さんに猫との馴れ初め話を伺う。「ブチという白黒の猫と生まれた時からともに暮らしていました。ブチは私を自分の子どもと思っていたようで、枕元に魚の骨などを運んだりして、私の世話をしてくれたものです。ブチが亡くなった後も、生活の中には常に猫がいました」と頬をゆるめる。
「5年前に妻が福井県の御誕生寺へお参りに行った時、茶トラのリオ君と出会い意気投合しました。後日、御誕生寺へお願いし、リオ君を迎え入れることにしたんです」。御誕生寺ではチャー坊の名でファンに愛されていたが、リオ五輪の年だったのでリオ君と改名した。
SNSにリオ君の写真をアップすると猫寺として知られるようになり、リオ君目当てに訪れる人が増えた。猫の御朱印も始め、参拝客に喜ばれている。人好きなリオ君は特に女性が好きなのか、上手に甘えに行く。男の子だなぁ。
「参拝客はリオ君に癒され、笑顔でお帰りになります。また訪れた時に『リオ君は?』と声を掛けてくださる方もいるんですよ。お寺は敷居が高く思われがちですが、リオ君のおかげで参拝しやすくなったようです」
リオ君のほかに、ムギ柄のベリー(メス)、三毛のミルク(メス)と犬が2匹いるが、人見知りでほとんど会うことができない。犬2匹のほうが先輩だが、リオ君が優しい大将だそうだ。
リオ君は山門で参拝客を出迎えたり、本堂で仕事をしている住職と奥さんの側に来て、邪魔をしないよう様子を見たりしていた。仕事を終えた住職がリオ君を呼ぶと、遊べると思ったのか甘える声で近づき、スリスリしたりゴロゴロしたりと嬉しそうだった。
今日も大好きな家族に囲まれて良かったね。リオ君と温かな家族にまた会いに来よう。
曹洞宗金剛山 龍岳院
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小森正孝(写真・文)
1976年生まれ、愛知県一宮市出身。大阪芸術大学写真学科卒業。同大学副手として研究室勤務。現在フリーカメラマンとして猫撮影を中心に活動。写真集『ねころん』(株式会社KATZ)等。
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