芳澤ルミ子のぶらにゃんこ 第1回

椅子の上をスタスタと歩いてやってきて、ピタッとポーズをきめてくれた茶目

ぶらぶら街を歩きながら猫と人に出逢う新連載。初回は「新宿ゴールデン街」へお散歩です。

ここは戦後の闇市、青線の歴史を経て60年代以降は文壇バーやゲイバーを中心に、作家や俳優、芸術家らが集う「文化人の街」として知られるようになった区画です。バブル期の再開発計画に耐えた木造長屋建ての独特な街並みに、今新たに個性的な飲食店が200件以上軒を連ねています。

車も通らない細い路地を歩くと、招き猫に出逢いました。お店の入り口にまたもう一匹。私はお誘いがあれば断らない主義。お店へ続く階段を登っていくと、クラシックの名曲が聴こえてきました。ここは4C's Bar ROSSO。

店先にいたピノコ(2歳メス)は、ペットショップで売れ残っていたところをマスターが引き取った

お客さんの膝の上に大きな猫、営業部長の琥珀(8歳メス)が「初めて見る顔だね、ゆっくりしてってね」と(マダム風に)言ってくれたよう。琥珀は近くの店が閉店して置いてきぼりになっていたところをマスターに保護されました。ノラ出身の茶目(17歳オス)もお客さんに紐で遊んでもらって楽しそう。

琥珀はグラマーな女性と恰幅の良い男性には特に営業に力が入るのだとか

バックバーを見るとお酒の種類が豊富でびっくり。メインのワインのほか、入手困難な国産ウイスキーも多く取り揃えてあり、ジンはなんと95種類。マスターの吉池忠男さん(74歳)が好みを聞いてくれて、ピッタリのお酒を勧めてくれました。

ワインと料理好きが高じて6年前にオープン。お酒の香りを楽しめるよう&猫がいるので店内は完全禁煙

時間を忘れて4杯目を飲み始めた頃、さっき入り口にいたかぎしっぽの奈々(7歳メス)がやってきて、「お尻トントンして」。奈々と小梅(7歳メス)は姉妹で、ネズミ捕りという任務も担っているというから、この街の猫の伝統は守られているよう。

スタッフのあやこさんと小梅。お客さんとお話をしながら猫たちの爪を華麗に切っていた

愛想良しの奈々。2軒先にある「プッシーフット」というお店に兄弟のリュウが暮らす

猫を大切にする優しい街・ゴールデン街で、今夜はすっかりほろ酔い気分になりました。

 

4C's Bar ROSSO
東京都新宿区歌舞伎町1-1-10
ゴールデン街G1通り 2F
TEL 03-5155-1424 
営業時間/月~木・日曜17:00~翌2:00、
金・土曜17:00~翌5:00
Twitter:@4csbar_rosso
 
芳澤 ルミ子
カメラマン。1972年生まれ。独学で写真を学び猫撮影を中心に活躍。猫の自然な姿と個性を捉えた写真を得意とする。著書に『にゃんたま』『開運酒場』(自由国民社)。『開運!にゃんたまカレンダー2021』(辰巳出版)が好評発売中。

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