神様・仏様・お猫様 神社仏閣の猫「前玉神社」埼玉県行田市

きなこが神様の眷属に見えた瞬間

埼玉古墳群の一つ、浅間塚古墳の上に佇む前玉神社は幸魂神社の名も持つ古社で、平安中期の法典『延喜式』に記録が残るほか、正倉院文書の中に「武蔵国前玉郡」という記載があることから、「埼玉」の名称発祥の地とされる。

「子どもの頃から、猫や犬など動物がいる中で生活してきました。以前いた猫は20歳くらいまで生きたのですが、亡くなった後、すぐに新しい猫をという気にはなれなかったんです」と宮司の田島和文さん。

ある冬の寒い日、参拝客の後ろに猫が付いて本殿から降りてきた。「お宅の猫ですか」と聞かれたが、初めて見る猫だった。その日の夕方寒くなると、その猫は社務所の中に入り甘えはじめた。そしていつしか神社の猫として生活するように。それが、きなこ(推定8歳メス)との出会いだ。

その後、茶白のガガ(年齢不明オス)、三毛のさくら(推定4歳メス)が来た。近所に住む職員さんの愛猫ミント(9歳オス)も時折やってくるようになった。

さくらはきなこが好きで近寄るが、いつも怒られてしまう

ミントは真っ黒に見えて、じつはお腹に白い模様がある

「猫たちが来てから、若い方も参拝にいらっしゃるようになりました。神社と猫を通して新しいご縁が生まれていることを嬉しく思います」。さらにテレビやSNSで紹介されると、遠方からの参拝客も増えたという。

田島さんと話していると、きなこが間に入って様子を伺い始めた。「最初は痩せていたんですが、今はきなこDXと呼ばれているんですよ(笑)」と優しい眼差しを向ける。

境内で猫たちを呼ぶ声がするので向かうと、猫たちが参拝客に甘えていた。それぞれにファンがいるようで、まるでアイドルグループだ。

田島さんに甘えるさくら

朝きなこに挨拶をすると、返事をしてくれた

夕方、境内が静かになる頃、ガガが落ち葉の上で気持ちよさそうに寝ていた。田島さんの後をさくらが追いかける。きなこは一生懸命、虫を捕まえている。人見知りのミントも姿を見せてくれた。

暖かい日、ガガはよく木の葉の上で寝ている

きなこが虫を捕えようと急に走りだした

最後はきなことさくらが見送ってくれた。猫たちがこれからも多くの良縁を結んでくれそうな、あたたかい神社だった。

参拝客のリクエストに応えるきなこ

木の葉の上で自分のしっぽと格闘するさくら

まだ眠そうなガガ

前玉神社
埼玉県行田市大字埼玉字宮前5450
TEL 048-559-0464
https://sakitama-jinja.com
Twitter:@sakitama_jinja

小森正孝(写真・文)
Masataka Komori 1976年生まれ、愛知県一宮市出身。大阪芸術大学写真学科卒業。同大学副手として研究室勤務。現在フリーカメラマンとして猫撮影を中心に活動。写真集『ねころん』( 株式会社K A T Z )等。本連載のカレンダー「招福 神様・仏様・お猫様~神社仏閣の猫~カレンダー2 0 21」が好評発売中。
H P:https://mako-f16.wixsite.com/komorimasataka/home

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