熱海のバーの名物おもてなし係 一太郎 ミチル てんてん タビ子

文・写真・芳澤ルミ子

お客さんを迎える熱海MuddyCatのタビ子(右)と一太郎

個性豊かな3匹の看板猫と店主が切り盛りする「猫に会えるかもしれないバー」熱海Muddy Cat。猫じゃらしに反応して歌川国芳の浮世絵さながら踊るようにジャンプするミチルの姿などがSNSでたびたび話題となり、お店のTwitterフォロワーは9万超え、今や猫好きの聖地となっている。そんなお店が4周年を迎えた昨年秋、新メンバーの加入が発表された。

スーパールーキーがやってきた

熱海の温泉旅館が並ぶ通りの一角に、ひときわ目を引く黒猫の看板があります。

それが熱海MuddyCatの目印。

店舗は1階で、2階から上は4匹の猫たちと店主の山村由香さんご夫婦の暮らす住居スペースとなっています。

商店街にあるバーは外観から猫仕様

猫たちは階段を降りていき、気が向いた時にお店に出勤します。

お店の一番人気はミチル(4歳♀)。

SNSで個性的な顔の柄と浮世絵の中から飛び出してきたようなポーズを見て、一目会いたいと北海道や沖縄などの遠方からもお客さんがやって来るのです。

当のミチルは、昨年末から寒さのせいか2階の炬燵に入っていることが多くて、出勤率が下がり気味なのだとか。

そんなエース不在のお店を新人の一太郎(推定4歳♂)が盛り上げています。

お客さんが来ると隣に座って接待し、初対面でも懐こく腕の中で寛いでいます。

人が好きですっかりお店の新しい顔として活躍しているのでした。

接客しながらさりげなく店内の様子を確認する一太郎。まさにホストの鑑

そんなビッグルーキーとの出会いを山村さんはこう振り返ります。

「初めて見かけたのは昨年5月の終わり、いつも買い出しをする市場の食堂でした。当時の一太郎はそこに居ついたばかりで、片目が開かずボロボロの状態でした」

すごく人懐こいので捨てられたんじゃないか、と話していた食堂のご主人は、猫にゴハンをあげてお世話をしていましたが事情があって自宅に迎えることができないそう。

なのでお店を閉めている間は外に出すしかありません。

心配なので誰か引き取ってくれないかと言っていました。「うちで保護したいけど既に3匹いるし……」と悩んだ山村さん。

ミチルを迎えた保護猫施設に相談してみると、運良く空きがありました。

早速保護したものの、情が移って保護猫施設に送るのが辛くなってしまったのでした。

そこで山村さんは再び保護施設に相談し、自宅にお迎えできないかトライアルを開始。

1日のうち2~3時間ケージ越しに一太郎と先住猫たちを同じ部屋で過ごさせ、徐々に打ち解けさせていこうという作戦でした。

ところが、そのストレスのせいかミチルは一時期肌が荒れてエリザベスカラーを着けることになってしまいました。

当然、面会タイムは一時中止です。こうした試行錯誤の2ヶ月を経て、ようやく先住猫たちは新入りを受け入れました。

店内のキャットウォークは、山村さんが猫の気持ちがわかる大工さんとともに流木を拾い集め創り上げたとか

そして、翌月にバーの4周年を控えた昨年10月、めでたく一太郎は熱海MuddyCatの正式メンバーに。

その後は、修行中の身でありながら当然のように出勤し、グイグイいく性格であっという間にナンバーワンホストの座を獲得したのでした。

接客業に覚醒したタビ子

子猫の時に山村さんが保護し、4年前に東京から熱海に引っ越してきた猫店長ことてんてん(7歳♂)は、猫たちのリーダー的な存在。

お店全体を見渡し、常に他の猫の働きぶりに目を光らせます。

口元の2つの黒い点模様と所作がダンディで、透明ボードのキャットウォークの上から見下ろし、裏側を見せつけるクールなサービスがマニアのお客さんたちを歓喜させています。

てんてんは管理職らしく高い所から後輩の働きぶりを監督

オープン前、働く前にオヤツちょうだい!

タビ子(推定8歳♀)は一太郎と一番の仲良しですが、ライバル心が出てきたらしく、近頃すっかり仕事熱心になったのだとか。

ひざ乗り&肩乗りサービスは破壊力抜群で、お客さんはすっかり骨抜き状態にされてしまいます。

この日はお店のオープンと同時に紅葉饅頭のお土産を手にはるばる広島からやってきたお客さんが来店。

お客さんに甘えてウットリ顔のタビ子。この体勢から肩乗りサービスに

Twitterを見てミチルのファンになり、近所にホテルを取って会えるのを楽しみにしていたそうです。

ところがそのミチルは炬燵の中で休憩中。

後で会えるといいのですが……という心配をよそに、タビ子の肩乗りサービス&悩ましいくりくりおめめ攻撃が炸裂! 目尻が下がりっぱなしです。

同じく県外から来店したリピーターの猫友2人組と杯を交わし、店内は猫談義に花が咲いていました。

山村さんのご主人に甘える一太郎

このところすっかりレアキャラになったミチルですが、フォトジェニックなSNS担当として今なお絶賛活躍中。

生まれ持ったインパクト顔に甘んじることなく絶妙な表情と、謎のポーズを次々と繰り出し続けています。

おなじみのタコのオモチャと戦うミチル

愛嬌たっぷりにお客さんにいじられにいく一太郎

新人・一太郎も、いつか大スター☆ミチル先輩に触発されて、SNSモデルとしての才能を開花させるかもしれませんね。

猫じゃらしで遊ぶ一太郎、パンダの下に潜って狙いを定める

熱海MuddyCat

静岡県熱海市和田町13-8 TEL0557-52-4551

営業時間:19:00~26:00(最終入店24:00)

定休日:日曜・隔週月曜 1時間 2,000円~

Twitter:@muddycat_atami

Instagram:muddycat.atami

https://muddycat.thebase.in

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