「塵も積もれば縁となる」

中心街の路地を一本入った古いお寺に、茶トラの子猫が迷い込んだ。もともと猫好きなお寺の方が世話する事になった。
これがやんちゃでやんちゃで。

小さな境内を縦横無尽に走りまくり、木に登り降りられなくなる。

これの繰り返し。
苦労も絶えなかったが笑いも絶えなかったという。
そして一年経ちあの子猫も大きくなり、すっかりお寺の子に落ち着く。

するとまたサバトラの子猫が迷い込んできた。

またまたお寺は世話をする事に。今年は同じ境遇の兄貴分がいる。よくできたもので茶トラは子猫の世話を焼く。
茶トラのお気に入りの場所はチリトリ。ぴったりフィットするサイズ感がたまらないのか…よく収まっていた。

やってごらんよ、そう諭すようにサバトラに視線を送ると…チリトリに入った!

だけど子猫。
すっぽり収まるはずもなくお気に召さない様子だが、続いてアルミ製のチリトリへ入る。
すると。

あ~これいい~このヒンヤリした感覚!
とでも言うように気に入ったご様子。こちらもよく収まっていた。
どこへ行くのも一緒の"チリトリ・ブラザーズ"。

茶トラもサバトラも境内を駆け巡りよく遊ぶ。そして遊び疲れたらそれぞれお気に入りのチリトリで眠る。

とても幸せそうな寝顔。
まるで幸せを掻き入れるチリトリ。

入ってくるのはチリだけじゃないんだね。
Kenta Yokoo




