「ウナギネコ」
ワンレンって随分昔にあったなぁ…と思い出させる顔つき。
鰻屋の猫は個性的な顔立ちだった。餌は余った鰻!冬の間は店の玄関で日向ぼっこ。悠々自適に暮らしている。
でもワンレン、鰻のようにぬるぬるして掴みどころがない性格だった。
じゃれたと思えば噛みつき、噛みつかれたと思えばじゃれてくる。叱ってもふーんという時もあれば深刻に反省している時もある。
餌が鰻だからそうなったのか…。
その彼のもとに一匹の放浪猫が現れた。
初対面で意気投合したのかとても仲良しになり、鰻屋の猫は2匹に。
じゃれあったり軽くジャブの応報をしたり…眠る時は猫団子に。
そしてだんだんとワンレンに性格が似てくる。
やはり鰻を食べると掴みどころのない性格になるのか…。
夏。
土用の丑の日、繁盛するお店の玄関にはいられないので近くのビルの谷間に2匹はいた。
鰻の寝床…。
そんな彼らはある日突然出奔。放浪猫は一時滞在のつもりだったのだろう、ワンレンもそれについて行ったと思われる。
鰻は太平洋を回遊するとか。
さしずめ彼らも回遊の旅にでたのか…。どこまで鰻なんだろ。最後まで掴みどころがなかったなぁ。
そういえばウナギイヌっていたな。ならば彼らはウナギネコだ。
鰻の生態は謎に包まれているが、猫だって謎だらけだ。
text&photo/Kenta Yokoo