「おせっかい」
とかく陽気なおっさん猫(以下おっさん)がいる。
シャムの血が入ってそうな毛色だ。陽気なのはその南国由来の気質の影響か。オープンで気さくな性格で何にでも肩をつっこんでくる。
例えば他人の仔猫なんかを可愛がって育てようとする。
で、母猫に激怒されシュンとなったのも束の間、別の楽しそうなことに顔を出す。こういう猫は大抵トラブルメーカーである事が多い。
一時期、おっさんは一族の冴えない雄猫の将来を心配し、縁談を模索していた。妙齢…というか結構な歳の三毛猫と雄猫を近づけた。まあまあ、ここまでは良しとしよう。
ところがその三毛猫が曲者で…いわゆるかかあ天下だ。いや、専制君主と言った方が適切か。
雄猫は命令されるがまま半ば奴隷状態。おっさんに抗議したのだろうか、でも結局おっさんは知らぬ存ぜぬでヌルりヌルりとかわす。
おっさんの兄弟。幼少期に兄弟に虐められていたおっさん。今では恵まれた体格でボスも一目置く存在になった。
その虐めてた兄弟はボロボロの下っ端になって生きていたが、どうだろう、おっさんは手を差し伸べた。虐められた過去なんてなかったように。
面倒見のいいおっさんは子猫だろうが親戚であろうが他猫だろうが差別なく施していた。
なんだ、おっさん。ちょっとカッコイイじゃないか。
今日も「面倒」を見ると言って余計なおせっかいをしてトラブルを引き起こす。本人は善意のつもりだろうが…。
いませんか、あなたのまわりの親戚にこういうおばさん。あ、おっさんか。
でも現代社会に「おせっかい」も必要かもしれない。おっさんが教えてくれた…のかな。
text&photo/Kenta Yokoo