ブラッシングは皮膚を清潔に保ち、血行促進や触って嫌がる箇所があれば病気の早期発見にもつながるので、毎日行うのが理想。
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血行促進や病気の早期発見にも
自分で毛繕い(グルーミング)していつも身綺麗にしている猫ですが、舌が届かない部分もあり、やはりお手入れは必要です。特に毛の抜け替わる換毛期(春先・秋口)や、長毛種は毛繕いだけでは間に合わないので、こまめなブラッシングを。
定期的なお手入れは抜け毛対策だけでなく、血行促進や、猫が飲み込む毛を減らす効果もあり、触って嫌がる箇所などがあれば思わぬ病気の早期発見にもつながります。なお、ケガ防止のために事前の爪切りを忘れずに。嫌がる猫には無理強いせず、まずは痛みや恐れを感じさせないようにスキンシップの延長で徐々に慣らすのがコツです。
「毛玉を吐く」ってどういうこと?
グルーミングで舐めとった毛は胃に入り、本来は消化管を移動してウンチと一緒に出ますが、胃の中の毛の塊を吐いてしまうことを「毛玉を吐く」といいます。ただ、すべての猫が吐くわけでも、その必要もありません。「吐く」という行為には何らかの原因があり、頻繁に吐く場合には獣医師に相談しましょう。
苦手な猫はハンドグルーミングから
ブラシを警戒する猫にはまずはハンドグルーミングで慣らそう。猫がリラックスしている時に、手でマッサージするように背中を撫でるところから徐々に始め、自分でグルーミングしにくいあごの下や脇、顔回り、お腹や内股など全身を触って抜け毛を取っていく。
手は毛が絡みやすいように常に湿らせておく。警戒しないようなら、仕上げだけでも獣毛ブラシをかけることができれば艶が出る。
(1)濡れタオルで手をしっかり湿らせる。
(2) 毛の流れに沿って背中を撫でるように手のひらでブラッシングする。
(3) 片手で上半身を起こしてお腹や脇の下も。自分でできない、のどや顔回りも。
(4) 警戒しないようなら最後に獣毛ブラシをかければキレイに仕上がる。
短毛種のブラッシング
毛が短いので皮膚を傷つけないようにしましょう。
短毛種のブラッシングに用意するもの
スリッカーブラシ
ラバーブラシ
仕上げに獣毛ブラシ
ポイント
親指・人差し指・中指で軽く持ったブラシを皮膚と平行に し、毛の流れに沿うように当てる。毛の根本までブラシは入 れても皮膚をこすらないこと。滑らせるように梳と かすのがコツ。
短毛種のブラッシング手順
(1)背中
猫がリラックスしている時にスタート
まずは背中から。肩を上から軽く押さえるとやりやすい。
首元から腰へと毛の流れに沿ってブラッシングを繰りかえす。
(2)お腹
家族がいれば2人がかりで仰向けに
ひとりが上半身を持ち、もうひとりがお腹を梳かす(ひとりの場合も寝かせるか、上半身を起こしてやる)。
(3)内股
擦れて毛玉になりやすい内股も︑足の付け根から丁寧に梳かす。
(4)首〜胸
声をかけて緊張をほぐしながら
あごの下から胸に向かって梳かす。噛まれないようあごは押さえておく。
猫が緊張しやすいポーズなので︑無理に引っ張らず優しく声をかけながらやる。
(5)しっぽ
裏側もしっかり
表だけでなく裏側も細い毛が密集しているので忘れずに梳かす。
完成!短毛種でもこんなに取れました
長毛種のブラッシング
ほつれ毛は手でほぐしてコームをかける
長毛種のブラッシングに用意するもの
スリッカーブラシ
コーム
仕上げに獣毛ブラシ
長毛種のブラッシング手順
(1)背中
猫がリラックスしている時にスタート
まずは背中から。首元から腰に向かってブラシを滑らせる。
数回で大量の抜け毛が出るので、こまめにブラシの抜け毛を取りながらやる。
(2)お腹
足の付け根は慎重に
2人がかりで猫を仰向けにし(ひとりの 場合は寝かせるか上半身を起こす)喉元からお腹を梳かす。
足の付け根は毛の流れが複雑なので、ブラシをそっと縦横、時には毛に逆らって解きほぐす。
(3)首〜胸
無理に引っ張らず優しく
あごを上げたまま、のどから胸に向かって梳かしていく。
無理に引っ張らずゆっくりと。ほつれていたら手でほぐしコームを入れる。
ポイント
左手で顔を挟むように持ち、人差し指で軽くあごの下を押さえておく。
(4)しっぽ
丁寧に拭き取りを
【べたつき】脂漏症でしっぽの根本がベタついていることも。
【汚れ】長毛種の場合、お尻回りが便で汚れていることも。
短毛種同様にブラッシングした後、濡れタオルで優しく拭いて清潔に。
(5)毛玉
重症毛玉は獣医師やトリマーに委ねること
毛玉を手でほぐし、縦にいくつか分けて裂いていく。
スリッカーブラシを細かく動かして解きほぐす
ほぐれない場合は皮膚を傷つけないよう注意して毛玉の根本をはさみでカット。
監修:南部美香
文:高橋美樹 イラスト:おかやまたかとし