「我が子」 ミケ母さんとボク君。仲睦まじくひっそりと廃屋で暮らしていた。 母さんは息子を溺愛している。 過剰な毛繕い、本気の遊び。 遊び過ぎで興奮して母さんが息子の耳をよく噛んでいた。そんな姿をお寺前の駐車場でよく見かけていた。 ある日、ボク君の里親になりたいという方が現れた。すぐ近所に住んでいる。穏やかな性格のボク君だ、きっと良い飼い猫になるだろう。皆、そう思って喜んだ。 ミケ母さんには悪いけど彼女のいない間にボク君を連れていく事になった。 あくる日、ボク君は大人しくキャリーケースに入りすぐ近くの新しい ...