昨年1月23日、中国湖北省武漢の封鎖を発端に、世界中が新型コロナウイルス感染防止に翻弄され続けて1年余り。コロナ対策で人々の生活形態も激変し、「マスク、消毒液、ウエットティッシュ」は携帯必須の三種の神器となった。中でもマスクは、着用法令施行とともに、香港にマスク製造業という新たなビジネスを発展させ、さらにファッションへと進化した。
香港では、2003年のSARSの経験からマスクの着用はいち早く行われていたが、突然の需要に供給が追い付かず、薬局の店頭に徹夜で並んだり、善意の無料配布10枚のために、5千人以上の長蛇の列ができたりと異常事態が発生し、マスク価格の高騰が横行した。
それを受けて、政府は「マスク生産支援計画」を打ち出し、新たに起業するマスク製造会社20社に対し、毎月200万枚を政府に供給することを条件に1年間の支援金支給制度を実施。即座に20社のマスク製造会社が設立された。ちなみに政府から市民への無料支給は、自己申請で希望者に布マスク2枚、全戸に郵送された不織布使い捨てマスク10枚だった。
マスク着用法令は、昨年7月15日から公共交通機関を含む公共の屋内外での着用義務(最高罰金HK$5000/約68750円)が開始され、現在も条件は異なるが施行中のため着用率はほぼ100%だ。台湾、韓国、日本からの輸入品はもちろん、香港のマスク会社も60社を超え、薬局ばかりかマスク専門店が軒を並べるようになった。
香港では、主にASTM(アメリカ試験材料協会)の医療マスク条件を基準にしており、白や黒以外に、各社で多種多様なデザインマスクが販売されている。
さて、昨年クリスマスに不織布使い捨てマスクに猫柄を見つけたのをきっかけに、約2ヶ月ネット及び店頭で入手できる猫柄マスクを収集してみた。なんと、香港製29社で65デザイン、台湾製11社で18デザインもあった。ハローキティ等有名キャラクターから香港ご当地キャラクター、クリスマスやお正月等のイベントデザインもある。
1枚当たりの価格は、香港製がHK$1.6(約22円)~$5.6(約77円)、平均$3.8(約52円)、台湾製がHK$2.4(約33円)~$10.1(約139円)、平均$5(約69円)。
プリーツ型がほとんどで、3Dタイプや中央二つ折り立体タイプもある。日本でも、布製なら猫柄も多いだろうが、不織布使い捨てにこれほど豊富なデザインがありまた需要があるのも香港ならではだと思う。
実は、私はマスク嫌い。法令には逆らえず、猫柄を見つけた時は唯一の救いだと感謝したが、まさかこんなにあったとは。積み上げられたマスクを横目に、早期収束を願いつつ使い切れるのかと悩む毎日だ。 (文・写真 塚碕由香)
Tsukazaki Yuka
猫と香港在住のライター。広東語で通訳、翻訳、日本語教師などもこなす。著書に『香港の大スター☆クリームあにき』(辰巳出版)。
◎ここで紹介した以外にも様々な香港の猫柄マスクがアップされています。興味のある方はチェックしてみてください!
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