神様・仏様・お猫様 神社仏閣の猫 第8回

破顔の行基和尚とキリリとした銀

太江寺は奈良時代に行基和尚により建立された。ご本尊は千手観音菩薩で、境内には二見興玉神社へ分霊した元興玉社がある神仏習合のお寺である。

音無山に建つ寺院では6匹の猫が生活をしている。山門より上を縄張りとするのが銀(2歳 オス)、馥(2歳 オス)、クロ(13歳 オス)の3匹。

山門より下には八(3歳 オス)、カンカミ(2歳 メス)、トラ(15歳 オス)が暮らす。2組が鉢合わせると、ピリリとした緊張感が漂う。

参道から八がご案内。山門で急に緊張した顔になる。ここから先は銀たちの縄張りのようだ

「35年ほど前、ペットの供養をしてほしいと参拝客にお願いされました。そこで動物病院の先生に相談したところ、じつは供養について困っている方がとても多いと聞き、ペット供養を始めたんです。当時いた猫が参拝客を参道から本堂まで案内すると話題になり、今では遠方から供養に来られる方も増えました」と住職の永田密山さん。

境内にはペット供養のための「愛受院」も建つ。「家族(ペット)を亡くし悲しい気持ちで訪れる方にとって、境内にいる猫たちの姿が癒しや励ましになっているようです。私よりも2倍は良い仕事をしているんじゃないでしょうか(笑)」。

境内や山の過ごしやすい場所を見つけて、のんびり過ごしていた

馥は終始遊んでいた

永田さんが境内に出てくると猫たちが現れた。みんな永田さんが大好きだ。

「猫を見ていると、心の余裕や自由に過ごす大切さを思い出させてくれます」と銀を抱いて永田さん

ボス的存在の銀は時間をかけて心を開くタイプだ。馥は人懐っこくよく遊んでくれ、シャイなクロは日当たりのいいお墓のあたりが好きらしい。

3匹はペットのお墓参りに訪れた人に寄り添い、静かな時間を共有する。まるで墓守のようだ。

クロが散歩に出ると、銀が後ろから付いていく

猫が好きな場所ということは、お墓で眠るペットたちにとっても居心地がいいに違いない

夕方、山門を降りるとトラたちが別れの挨拶をしてくれた。山門下の3匹はとても人懐っこく、顔を見かけるとすり寄ってくる。トラは話しかけると返事をし、優しい眼差しを向けてくれる。

山門の上チームと下チーム、もっと仲良くなりますようにと思いながら、お寺を後にした。

職員のリナさんと銀は仲良し

影まで美しい漆黒のカンカミ

トラがお出迎えもお見送りもしてくれた

真言宗醍醐派 潮音山 太江寺
三重県伊勢市二見町江1659
TEL 0596-43-2283
http://www.taikouji.com

小森正孝(写真・文)
1976年生まれ、愛知県一宮市出身。大阪芸術大学写真学科卒業。同大学副手として研究室勤務。現在フリーカメラマンとして猫撮影を中心に活動。写真集『ねころん』(株式会社KATZ)等。
H P:https://mako-f16.wixsite.com/komorimasataka/home

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