存在感抜群の看板猫に招かれて|広島・宮島の雑貨店「三栗屋」

「三栗屋」看板猫の「福くん」。のんびりした穏やかな性格で、人見知りもしない

Photo & Text by Yoshizawa Rumiko

今回は日本三景のひとつ、宮島へ。フェリーを降りると、神様のお使いである鹿たちが懐っこく愛嬌をふりまいてくれます。世界遺産である厳島神社(いつくしまじんじゃ)の、観光客で賑わう表参道商店街には、焼き牡蠣・あなご飯・もみじ饅頭など名物グルメが盛り沢山。その賑わいから一筋入る風情ある小路に、小さな雑貨店「三栗屋」がありました。

オーナーの吉村恭子さん曰く「宮島に来るのに一番おすすめなのは紅葉シーズン」

知らなければ通り過ぎてしまうような、でも看板猫の「福くん」(9歳♂)に一度招かれたら、忘れられないお店!店先でどっしり構える7キロの体。思わず置物と見間違えてしまう「招き猫」です。恰幅が良く、まるで大きな豆大福のよう……。ただ座っているだけで、その場に福が満ちていく不思議。圧倒的な存在感に、すっかり心奪われてしまいます。

接客の合間で恭子さんに甘えることも忘れない

そんな福くん、自宅からの通勤距離は約1メートルですが、出勤は気まぐれです。しかし、一旦お店に出れば、しっかり任務を果たします。訪れるお客さんに「さあ、存分に撫でれば良いぞ」とでも言っているかのような、懐の深い癒しのサービスを提供。お客さんの心をしっかり掴んでいるようです。

恭子さんがデザインした焼き物のモデルは福くん

こちらのお店は、東京で着物のデザイナーをしていた吉村恭子さん(63歳)が宮島に移住して開いたそうで、来年で開店20年を迎えます。手仕事の温もりを感じるオリジナルの陶器や張子、磨かれたセンスで集められた作家さんの和小物などが揃い、猫や小鳥、カエルなど動物モチーフの飾り物が棚の上から微笑みかけてきます。

「いらっしゃいませ〜」。呼び込みもお手のもの

店名の「三栗屋」は、栗の実に由来。イガの中に、三つの栗の実が仲良く包まれて入っていることから、お母さまと娘の恭子さん、猫たちの三人家族で支え合い、笑い合って、ゆっくりお店を育てていこうという願いが込められています。

福くん退勤。お店と自宅が面した路地は、車通りがほとんどない

福くんの先輩には、この店のスタートを支えた、8キロの貫禄あふれる三毛の名看板猫「はるみちゃん」がいました。かつて「土曜ワイド劇場」で放送されていた「家政婦は見た!」で、市原悦子さん演じる家政婦が飼う三毛猫に「はるみちゃん」と名付けていたことから、猫を迎える前から「三毛猫=はるみちゃん」と決まっていたのだとか。

柔らかな温もりに満ちた店内。 心に残る宮島土産がきっと見つかる

福くんは、子猫の時に里親募集をしていた広島市内の雑貨屋さんからここに来て、はるみ先輩の元で見習いとして看板猫の修行を積みました。多くのお客さんに愛されたはるみちゃんは3年ほど前に虹の橋を渡りましたが、今も店のどこかで見守っているような、そんな空気が残っています。

カラフルな招き猫の ガラスびな。福くんのご加護で霊験あらたか!?

優しい店主と、交代で店番を続ける92歳のお母さんの笑顔と、のんびりとした福くんの空気感が、観光地の喧騒から離れて〝ほっとする時間〞を与えてくれました。

三栗屋
広島県廿日市市宮島町541-6
TEL 0829-44-2668
営業時間:10:00〜17:00
定休日:木曜
https://mikuriya-miyajima.com

-猫びより, 連載