
取材・原田佐登美
徳島県の猫にまつわる逸話で有名な場所に、飼い主お松に代わり恨みを果たしたお玉という猫を祀る阿南市の「お松大権現」がある。
俗にいう江戸時代の「阿波の猫騒動」で、阿波藩の長谷川奉行が猫の霊を祀り、そこから誰ともなく「願いを叶えてくれる猫神さん」と呼ぶようになった。
お松大権現と同一神とされる八万町の王子(おうじ)神社は、地元の人から「猫神さん」「おうじんさん」という呼び方で親しまれている。

国歌にも出てくる「さざれ石」
徳島県文化の森総合公園から「猫神さん」の幟がある階段を上ると、公園を見下ろす景色が広がる。
神社にはお世話されている猫が6匹、公園から遊びに来る地域猫が2匹滞在。朝一番に、女子なのにヒゲ柄な看板猫もーちゃん(年齢不詳♀)が鳥居からお出迎え、国歌にも詠まれている「さざれ石」の前でポーズを決めてくれた。

様々な願い事が書かれた絵馬とシロちゃん
猫たちは普段寒い時は社務所のホットカーペットの上でまったり。陽気がいいと受付口から出入りして、外で日向ぼっこ。

毎日ワンちゃんを連れて参拝するという女性
猫を目的に参拝するお客様も多いそうで、本を片手にのんびりくつろぐ人もいるそうだ。境内には禰宜さん手作りの子どもの遊具があり、親も喜び、猫も子どもに追われなくて一石三鳥だとか。

禰宜さんと遊ぶのが好きなうにちゃん
白猫でオッドアイのシロちゃん(7歳♂)は耳が聞こえないため、リードを付けて時々お散歩している。この日は最近、奥さんの実家がある市内に引っ越してきたという猫好き若夫婦が訪れ、散歩のお手伝いをしてくれた。
「妻の実家で猫3匹飼っていますが、猫神さんには初めて来ました」と旦那さん。慣れた様子でシロちゃんが行きたがる境内をゆっくり歩きながら、散歩を楽しんだ。

シロちゃんのお散歩をしてくれた若夫婦
オリジナル御朱印の絵柄は、猫好きの宮司さんがデザインを考えている。初めは8月だけ阿波踊りを踊る猫の絵柄だったのが、現在では月ごとに変わるようになった。
バリエーション豊かな可愛い猫柄御朱印に猫柄御守も並び、選ぶのに迷いそう。

オリジナル御朱印帳と猫ゴムバンド、猫柄御守をお土産に
猫の祟りを鎮めるために祀られた神社は、今では開運・商売繁盛・合格祈願と御利益が多岐に渡り、受験シーズンになると多くの参拝者が訪れる。
御朱印をいただく際には、禰宜さんが不在の時もあるのでInstagramで事前に確認をすると良い。

社務所の窓口が猫の出入口
王子神社
徳島県徳島市八万町向寺山55(徳島県文化の森総合公園内)
TEL 088-668-6915
開門時間:9:00〜17:00
御朱印受付:9:20~16:40
https://oujijinja.com
Instagram:@tokushimanekokami




