【香港】週末は「ペットバス」に乗ってお出かけ!

カラフルで可愛い外装が、ひと際目立つペットバス

香港でも「ペットは家族」という認識が当たり前になってきている昨今。

香港愛護動物協會(SPCA)の調査結果(2023年末)によると、香港の家庭で飼育されているペットは約160万匹で、そのうち犬約85万匹、猫約70万匹、ハムスターやウサギなどその他約5万匹といわれています。

ポップなイラストで、明るく清潔感溢れるペットバス車内

 

その一方で、人も車も建物もひしめき合う香港では、野外でのんびりとペットと過ごすのは至難の業。公営の大規模な公園もあるのですが、ほとんどペットの入園は禁止。たまにペット(犬)エリアが設けられていても、ほんの申し訳程度で大型犬なら走ることもままなりません。

ドッグラン専用の公園も作られてはいるのですが、海浜公園など住宅エリアから離れた郊外ばかり。遠出をしようにも、MTR(地下鉄)、バスなどの公共交通機関はペットの乗車は禁止されており、自家用車のない場合は、タクシーやUberなどの配車サービスを利用しなければなりません。

猫専用のキャットゾーンなら、犬と少し離れて座ることができる

 

そこで、香港市民の足である九龍巴士(カオルーンバス)が、昨年10月から、土日祝日に限り「寵物巴士(ペ ットバス)」の運行を始めました。このバスは、ペットを連れて出かけられる郊外の人気エリア6箇所へ向かうツアー形式で、飼い主ひとりにつき、ペット1匹の乗車が原則です。

料金は、エリア1箇所のみの往復なら、60香港ドル(約1,140円)、エリア3箇所以上の乗り継ぎなら、90香港ドル(約1,170円)で、インターネットでの事前予約が必要です。途中経由するバス停で30分に1便ペットバスが運行しており、目的エリアでの滞在時間が自由に計算できるのも人気です。

乗車が初めてでもリラックスして座席に座るマンディさんの愛猫「雪」

 

1月初旬の週末に、香港島の「中環海濱(セントラルハーバーフロント)」から出発したペットバスには、10人余りの参加者があり、ほとんどのペットが犬の中で、猫を連れた参加者も見られました。

二階建てバスには、犬とは別に「貓貓専區(キャットゾーン)」と書かれた猫専用の座席も用意されているので、犬が苦手な猫も安心して乗車できます。基本的に、犬や猫などリードをつけていれば、車内でケージに入れる必要はありません。

ペットバスのお出かけ大好きフレンチブルドッグの「きり丸」&「しんべヱ」

 

フレンチブルドッグを2匹連れたサンイさん、アリスさんは、今回が2回目だそうですが、「犬友と誘い合って郊外へ出かけるのに便利で飼い主も旅行気分が味わえるのが楽しい」。

猫と一緒に乗車したマンディさんは、「バスの運転手さんが猫好きでやさしかった。猫はバスに乗るのが初めてだったので最初は緊張したが、すぐに落ち着いたのでよかった」と、それぞれに語ってくれました。

(文・写真 塚碕由香)

Tsukazaki Yuka
在香港歴26年のフリーライター。広東語で通訳、翻訳、日本語教師などもこなす。著書に『香港の大スター☆クリームあにき』(辰巳出版)。

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