糸島観光大使になった人気猫「もんた」

糸島観光大使に就任したもんた

YouTube登録者数約18万人、Twitterフォロワー10万人越え(2022年11月現在)の人気猫もんた。難病を患いながらも飼い主Yさんの献身的な介護に支えられてまったりマイペースに日常を楽しむ姿が多くのファンに愛されてきた。そのもんたが近ごろめっぽう元気になり、しかも地元の観光大使にも就任したという。真相を確かめに福岡県糸島市の自宅を取材した。

文・しんしゆか写真・芳澤ルミ子

Yさんのマッサージに満足しきりのもんた

現在、もんた絶好調!

20cmぐらいの段差なら「屁でもない」と広い庭をゆるゆる駆け上がる。愛嬌のある丸っこい体でぽてぽて歩くもんただが、スピードが速くなり、緩やかな動作の中に俊敏さが見られるようになった。

今年の夏の終わり、もんたは生まれて初めてトノサマバッタを捕まえた。スローモーだったもんたの大きな進歩だ。

「それを見て感動しました」と、もんたの飼い主Yさんはうれしそうに話す。

「最初もんたは動きの速いバッタにてこずっていて、捕まえそうになるんですけど、あともう少しというところでバッタに飛んで逃げられるんです。それでも最後まであきらめずに追っかけて、とうとう捕まえることができたんです」

あの病弱だったもんたが、普通の猫のように狩りができるまでに成長した。Yさんだけでなく、今までを知るもんたファンにとっても感慨深いできごとだ。

もんた、奇跡の生命力

ヌイグルミにあごを置くもんただが、Yさんが横になると腕枕や足枕をしてもらいにやってくる。手首や足首近くの固めの部位がお気に入り

もんたはひとめ見たら忘れられない個性的な容貌の猫だ。「先天性甲状腺機能低下症」という難病を抱え、それが原因で様々な病気を併発している。そのたびに動物病院にかかり、受けた手術も一度や二度ではない。慢性的な腎疾患もその一つだ。

だが、もんたの生きる意志の強さとYさんの並々ならぬ献身的なケアで、数々のピンチを乗り越えてきた。

今年5月、もんたはサブシステム手術という人工尿管手術を受け、おしっこがスムーズに排泄できるようになった。術後しばらく順調だったが、細菌に感染し手術痕が化膿した。傷口を切開してもらって膿は出たが、除菌が必要だ。

車で片道1時間、毎日Yさんは動物病院に通ってもんたの除菌洗浄をしてもらった。連日2週間通院するも1日1回では消毒が進まないため、獣医さんから「自宅でもやってください」との指示が出る。

Yさんは日に3~4回、毎日自宅で処置をした。もんたに優しく声をかけながら水と消毒液で患部を洗い、薬を塗り、ガーゼと包帯を巻き、最後に保護用の腹巻をする。「西松屋の赤ちゃん用の腹巻がちょうどいい大きさで、もんたにぴったりでした」

自宅ではYさんにおとなしく洗浄されていたもんただが、動物病院ではブチ切れ状態だったそう。「ギィヤアアァーッ!」と叫んで大暴れ、Yさんにまで噛みつこうとしたという。

「のんびりした『もんたの日常』からは、たぶん想像できないと思います(笑)」

炎症は鎮まり、今では傷口もきれいにふさがって腹巻は取れた。もんたのバイタリティーには驚くばかりだ。

もんたがストレスを溜めていそうなのは夜の散歩に行きたそうにしている時。そんな時は釣り竿のおもちゃで遊ぶ

もんた、 糸島観光大使になる

今年10月、もんたは糸島観光大使に任命された。YさんがTwitterで「もんたはいずれ糸島観光大使になります!」と宣言したのをきっかけに、糸島市の広報紙『広報いとしま』の表紙モデルに抜擢されたもんた。

その後YouTubeを見た糸島市役所の担当者が、もんたに会いにYさん宅を訪れる。動画の印象よりも実際は小柄なもんたが、人見知りもせずにあごを腕に乗せてくれたことに感激したそう。

庭の草を噛むのが好きなもんた。歌舞伎役者のように男前な表情を見せる

ゆっくり時間が流れる穏やかなもんたの日常と「もんたに豊かな自然環境でのんびり幸せに過ごしてほしい」というYさんの思い。

それが糸島市のライフスタイルにマッチしていると、もんたは堂々の糸島観光大使として公認された。

その反響は大きい。

ファンからの「おめでとう!」の祝辞はもちろん、糸島市民からは「自分の住んでいる街にもんたが!こんな近くにいるなんてうれしい!」、県外からは「糸島市に住みたい」、とさまざまな声が届けられている。

もんたが住んでいるからと糸島市に旅行に来た人々もすでにいるのだ。

爪を研ぐ様も猫らしくなったもんた。「むぅ」としか鳴けなかったのが、近頃「ウニャッ」と鳴けるようになった

もんたの明るい兆し

この1年でもんたは劇的に調子がよくなり、そして大きく成長した。服薬で甲状腺の数値も体調も良くなり、体重は現在4kg。体は少しずつ大きくなっている。

Yさんの家は大きな古民家だ。その家の周りを広い庭が取り囲む。いや、庭というよりも木立のある小さな森という表現がぴったりだ。広い敷地に車が入ってくる心配はない。

今のところ、のんびり過ごす姿をSNSやYouTubeで配信するのが糸島観光大使としての主な任務。糸島市は海も山も豊かな町だ

玄関タイルのたたきの上でゴロゴロくねくね。それがもんたの散歩の合図だ。

散歩が始まると、Yさんは少し後ろからもんたに付き添って歩く。

時々「むぅ」と鳴くもんた。

その響きにはYさんへの絶大な信頼が見て取れる。愛情をかけて献身的に自分に尽くしてくれるYさんを「ちゃんとわかっているよ」というように。

今、もんたはYさんにこたえるように、ゆったりと暮らしながら元気になっている。

近寄ってきたもんたが前足をそろえてうつむきがちに座ったら、それはもんたがかまってほしいときのポーズだ。

リクエストにこたえてYさんはたっぷりの愛情と時間をもんたに注ぐ。

それはとても穏やかな光景で、2人の周りは優しい空気に満たされていた。

もんたの一番好きなことはYさんといること

Twitter:@montanonichijo
YouTube:もんたの日常

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