江ノ島に行ったら「たろ氏」への挨拶は必須

たろ氏がお店に来たのは2013年。 野良猫だったところを親戚から譲ってもらい2代目看板猫になった

取材・鈴木美紀

失礼ながら、実際に会うまでは普通の猫だと思っていた。「江ノ島のカフェの看板猫」。オーソドックスなかわいい猫のイメージだ。

古き良きアンティークコレクションに溢れた店内で、たろ氏もくつろぐ

ところがカフェーマルの猫、会ってみると只者ではない。「たろし」と呼ばれているが漢字では「たろ氏」と書く。「源氏」「平氏」「三浦氏」というように武士の氏族の名であるそうだ(またの名を「たろう」とも)。

そんなたろ氏に会いに、片瀬江ノ島駅を降りた。江の島弁天橋を渡り、ヨットハーバーにつづく左の道へ。メイン通りとは異なり静かで落ち着いた佇まいだ。すぐ右手奥に見える緑色の木造2階建てがカフェーマルである。

一瀬さんデザイン&手作りの「たろ氏グッズ」もたくさん。ファブリックは一点ものなので見比べても楽しい

ちょうど店主の一瀬修治さんが入り口にいた。「たろ氏、いらっしゃいますか?」「はい、そこに」。

その声を聞きつけたのか、ドアから姿を現す。「写真を撮っていいですか?」。

するとたろ氏、ゆったりポーズを取ってしばし静止。いやはや、堂々たる振る舞いが「所作」の域だ。「番台」と呼ばれる衝立の高みから人々を見下ろす姿は「遠見番」のようだし、ヒタッと止まり相手と対峙する姿は達人の構えだ。とにかく動きに無駄やびくつきがない。

決めのポーズがしっかりはまる。そのうえ「主人」である一瀬さんには「お手」もしてみせ、忠誠心も半端ない。

不定期で行われる「朝の会」では、この位置でたろ氏がもて なしてくれる。手作りケーキやこだわりのコーヒー、ドリンクはもちろん、軽食やアルコールも

大正レトロの雰囲気あふれる店内で、たろ氏を眺めながらお茶をいただく。こんな贅沢があるだろうか。もしも店内にいなくても、忙しくない時間なら一瀬さんが連れてきてくれるので、江ノ島ではぜひたろ氏に挨拶に行こう。

店主の一瀬修治さん愛里さんご夫妻。緑のテラス席もあり、時間を忘れてくつろげる

カフェーマル
神奈川県藤沢市江の島1-6-5
TEL 0466-27-7939
営業時間/12:00~19:00
定休日/木曜
Instagram:enoshimacafemaru

-猫びより, 連載