猫飼いさんにとってもっとも心配なこと、それは愛猫が腎臓病に罹ることと言っても過言ではありません。
可能な限り愛猫と長く過ごしたい私たちにとって、完治することのない腎臓病は脅威ですが、多くの猫ちゃんが腎臓を悪くしてしまうのも事実です。
しかし、なすすべがないわけではありません!
今回は、多くの猫が腎臓を悪くする理由や腎臓病のサイン、腎臓病を予防するために飼い主にできることや、腎臓病になったあとどうすべきかなど、飼い主の気になる疑問や不安に、ファルミナペットフーズ・ジャパンで獣医師として活躍する松尾咲良先生が答えてくれました。
- 猫が腎臓病に罹りやすい理由
- 早期発見に必要なこと、具体的な症状
- 腎臓病を防ぐためにできること
松尾咲良
ベッツ・マーケティングマネージャー/獣医師
獣医師として動物病院での勤務を経て、現在はファルミナペットフーズ・ジャパン株式会社にて学術とマーケティングを担当。イタリア本社やセルビアの獣医師と連携し、ファルミナペットフーズのモットーである「happy pet happy you」の考え方に基づいて、毎日のごはんから、ワンちゃん猫ちゃんの健康維持のお手伝いができるよう日々心掛けています。家族はチワワのここちゃん(12歳)、ウサギのびーびーちゃん(2歳)です。
Q.どうして猫は腎臓病になりやすいの?
A.その理由については不明な点が多いですが、注目されている研究結果もあります
【解説】
猫が腎臓病にかかりやすい理由については不明な点が多いですが、近年では体の中に出た不必要な「ゴミ」を掃除してくれる物質が猫では先天的に機能していないことが重要な原因であるという研究結果が報告され、注目されています。
<そもそも腎臓ってどういう臓器?>
腎臓は、猫さんの体の背中側に左右に分かれて存在するそら豆型の臓器です。
腎臓の主な機能は血液中の老廃物をろ過して尿を生成することですが、その他にも、体の液体の量の調整、血圧の調整、ビタミンDの活性化、赤血球を作るホルモンの産生などのはたらきがあります。
<腎臓病ってどんなものなの?>
腎臓病とは、たくさんある腎臓の機能が、何らかの原因により失われた状態をいいます。腎臓病は短期間で腎臓機能が低下する急性腎臓病と、ゆっくりと進行し、3か月以上続いて腎臓にダメージや機能の低下がある慢性腎臓病に分かれます。
それぞれの症状の特徴は以下の通りです。
◆急性腎臓病
・尿量が減る、尿が出ない
・元気がない
・嘔吐、下痢
・けいれん など
◆慢性腎臓病
・多飲多尿
・食欲がない
・嘔吐が増える
・体重減少
・高血圧
・貧血
・被毛の艶がなくなる など
なかでも慢性腎臓病にかかっている猫は1.6~20% と推定されていて、老猫の主な死亡原因の一つと考えられています。
<特に腎臓病になりやすい猫はいる?>
慢性腎臓病は、性別にかかわらず7歳以降の高齢期に特に有病率が高く、特に15歳以上の猫では最大80%に達すると言われています。
Q.猫の腎臓病を早期発見するにはどうすればいい?
A.定期的な健康診断や獣医師のサポートを受けましょう。猫の健康な状態を知っておくのも大切!
【解説】
腎臓は一部の機能が低下してもその他の部分で失われた機能を補うことができるため、ある程度進行してから初めて症状が出るという特徴があります。そのため慢性腎臓病については早期発見が難しいことも特徴です。
それでも、出来る限り早い段階で異常に気付くには定期的に健康診断に行くことが重要! 検査、血液検査、エコー検査などで詳しい検査を行うことで、見てわかる症状がない段階での異常を検知することができるので、病気の早期発見、早期治療につながります。
特に健康に問題がない場合は最低年に1回、中高齢期からは最低年に2回は包括的な健康診断をするのが理想です。
弊社では健康維持のために役立つ日々の健康チェックのポイントを獣医師からアドバイスを受けられる無料のサービス「ペット栄養ケアサポート」があります。獣医師コンサルタントへの連絡方法は電話を推奨していますが、専用のアプリからも連絡や、お電話の予約が取れます。
お電話でアドバイスを差し上げられるので、どうしても動物病院が苦手な猫さんにもオススメです! 日々の健康チェックについて不安がある方はぜひお電話でお気軽にご相談ください。
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そのほかにも、猫の健康な時の状態をよく知っておくことで、猫の体調の異変にいち早く気づくことができます。
▼愛猫の健康なときの様子を確認しておこう!
・食欲
・元気
・体重、体型
・日々の飲水量
・尿や便の状態
・皮膚の状態
・口の中の状態
特に飲水量や尿量などは月に1度程度は確認できると安心です。
Q.猫の腎臓病を防ぐために飼い主が日常的にできることってあるの?
A.日々の飲水量やフードをチェックしましょう。特にミネラル類やタンパク質の過剰摂取には要注意です!
<飲水量のチェック>
腎臓病の原因になる可能性のある膀胱炎や尿結石を予防するために、日々の飲水量のチェックが大切です。慢性腎臓病になると尿の量が多くなり、そのことで喉の渇きをより感じるようになり水を多く飲む「多飲多尿」の状態になります。
飲水量が>45~60ml/㎏/日以上で多飲、尿量は>40ml/㎏/日以上で多尿と判断できます。
ぜひ猫さんに1日に飲む水の量は把握しておくことをオススメします。
【参考:猫の飲水量について】
猫が1日に飲むべき水の量は? どうすれば水を飲むようになる? 気になる疑問に獣医師が答えます!
<フードの見直し>
過剰なナトリウム、リン、タンパク質は慢性腎臓病の進行を早めることが分かっているので、それらが多すぎるフードは避けるのが◎。特に高齢猫の場合には隠れて腎臓病が進行している場合があるため、特に注意してフードを選びましょう。
Q.猫の慢性腎臓病の治療法ってあるの?
A.獣医師のサポートと療法食で進行を遅らせることならできます
【解説】
腎臓は、一度機能が失われるとその機能が戻ることがありません。そのため慢性腎臓病の完治は難しいですが、進行を遅らせることは可能です。
腎臓病になってしまった場合には、進行をできる限り遅らせられるように、獣医師に相談しながらその状況に合わせて適切な治療・栄養管理の計画を立てていきます。
また、慢性腎臓病の場合、腎臓用療法食を使用することで、一般的なフードを与えた場合よりも生存期間が延長することが知られています。
<松尾先生オススメ! 腎臓用療法食>
ベットライフ腎臓ケア
慢性腎臓病の猫さんのフードはタンパク質量、リン・ナトリウム含有量、オメガ-3脂肪酸含有量の調整をすることが理想的です。
ベットライフ腎臓ケアはこれらの栄養学的なポイントに配慮し、腎臓病の食事管理に適した療法食です。その上、嗜好性にもこだわっていること、そしてウェットフードの選択肢があることも大きな強みです。
腎臓病では食欲不振が一般的にみられます。食欲不振により栄養が不足すると、正常な身体の機能へ悪影響を招きます。慢性腎臓病の診断前後のBCS(ボディコンディションスコア、体型を評価する数値)が低い(=痩せすぎ)ほど、生存率が低下するといった報告があるので、治療中の栄養状態の維持も重要な課題の1つなんです。
<こだわりの製造方法で美味しさキープ!>
一般的に腎臓病療法食はタンパク質を制限するために、お肉などのタンパク質の配合量を制限するので、通常のご飯と比べて嗜好性が下がりやすいことが知られています。
そんな中でも美味しくご飯を食べてもらえるように、ベットライフ腎臓ケアは原材料と製造方法を工夫して嗜好性にもこだわっています。
◆原材料
ヒューマングレードの厳選した原材料のみを使用
お肉は「正肉」を使用し、「副産物(※家畜の正肉になる部分以外の、頭・内臓・尾・肢端・骨などを指す)」は使用していません。
◆製造工程
ツインスクリューエクストルーダーという押し出し成形機を使用
生のお肉から加工をすることでお肉の加熱は一度のみで済むため、自然な風味と原材料のもつ特性を生かしたフードを実現しています。
※ベットライフ腎臓ケアは、獣医師の診断や指導のもと使用することを前提とした、動物病院専売の療法食です。ご愛猫様でのご使用については、かかりつけの獣医師にご相談ください。
★松尾先生からのアドバイス
猫は本能的に体調不良を隠す傾向があります。そのため体調不良や腎臓病のサインに気付くには日々気を付けて観察をする必要がありますが、なかなかわかりにくい場合も多く、ペット栄養ケアサポートなどを上手に利用して、健康なときから愛猫の正常な状態を把握できるようにするのが理想です。
お家での観察では病気に気付けない場合や、症状がなくとも検査上では異常が発見できることもあるため、日々の健康チェックに加えて定期的な健康診断も併せて行いましょう。定期的にストレスレスに病院に通えるよう、適切なキャリーを用意する、音や揺れが少ない移動手段を検討する等、猫が快適に病院に行けるための準備も事前に行うと安心です。
ファルミナペットフーズ・ジャパン株式会社
https://www.farmina.com/jp
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