動物病院の治療費、どう決めているの?なぜ病院ごとにちがうの?

宮下ひろこ・文
たまゑ・イラスト

それぞれの病院で決める自由診療

「A病院では爪切りが無料だったのにB病院では500円、C病院は1000円……」というように、同じ処置・治療でも病院によって料金はさまざま。これが手術や入院となると料金の幅はもっと広くなり、飼い主の出費に大きく影響しますね。それは猫さんが受けられる治療に直結します。

人間の医療とちがい、動物病院は自由診療なので獣医師や病院同士で話し合って診療料金を決めることは法律上許されておらず、それぞれの動物病院で決めています。治療にかかる医薬品代、検査機器の維持費、診療技術を行うことの対価(教育費)、診療にかかる時間や関わる人件費などを反映し、適切と思われる料金を設定します。ただ、どのように反映しているかは、個々の病院によってちがいます。

夜間救急病院などで料金が高いのは、高度な医療技術を提供していることや、ほかの病院が閉まっている夜間でもすぐに診ることができるスタッフを十分に確保して診療体制を維持しているからです。

さらに大学病院や、近年増えてきた高度医療機関などの二次診療施設は、専門知識や技術を身につけた認定医が診察していることや、高額な医療機器を使っていることなどを考えると、一次診療施設より治療費が高額になることは必然といえるでしょう。

動物病院はサービス業

もうひとつ、動物病院は医療機関ではなく、サービス業にくくられていることをふまえておくとわかりやすいかもしれません。例えば医療設備とは別に、豪華なインテリアやサービスなどの付加価値が用意された動物病院などがあります。そうしたニーズに応えたコンセプトということになるでしょう。

地代や付加価値の設備費を考えると必然的に料金も高額になります。ホテルやレストランと同じように、猫というよりはどちらかというと飼い主に向けたサービスですね。

一方で、保護活動をしている人御用達のような病院では保護猫限定といったしばりはあるものの、低額の治療費で診療や処置を行う先生もいます。これもニーズに応えたコンセプトといえます。

いずれにせよ高いから悪い、安いからよいといった判断はできません。いくら安くても心配や不安が残るようでは問題だし、高く感じても治療に納得できれば安心できますよね。もちろん逆もりです。

 

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