文・写真八二一
クンクンと念入りに草のにおいを嗅ぎながら、朝、昼、夕方と1日3回、近所の道を散歩する茶白猫のチャチャ(♂)。その元気で愛らしく人懐こいキャラクターが受けてYouTubeで人気急上昇中だ。今日もご近所をパトロール中のチャチャに会いに行ってきた。
ご近所の人気者
YouTubeチャンネル「元野良猫チャチャとRme」は、チャンネル登録者数が2年で万人を突破。総再生回数は5千3百万回を超える勢いだ(2022年11月現在)。
玄関口に立つと、堂々とした姿でRmeさんにハーネスを装着してもらい、意気揚々と散歩に出かけるチャチャ。その姿がまるで武将のようだとのコメントが寄せられた。ものおじせずマイペースな様子に、動画に添えられた飾らないセリフが相まって、思わず笑みがこぼれてしまう。
去勢済の印である耳カットをされたチャチャは、数年前から近所に住み着いている地域猫だった。食事や病院の世話をしてくれる保護主さんがおり、首輪には「チャチャ」「迷子猫飼い主さん募集中」と書かれたネームプレートが付いていた。登下校の子どもたちからも人気で、Rmeさんの小学生の娘さんもチャチャのことが大好きだった。
ある日のこと、チャチャは首輪を残して姿が見えなくなった。「娘が一日中泣いたんですよ」と、Rmeさん。
チャチャにもう会えないかもしれないと思い、悲しむ娘さん。見かねた旦那さんの「そんなに泣くなら、うちで飼ってあげればいいよ」の言葉で、もし次に会えたら里親になろうと決意した。
親子でチャチャを探しに行ったら、いつもの場所で発見。どうやら首輪が外れただけのようだった。チャチャに再会した娘さんは、「うちにおいでよ。こたつあるから」とやさしく声をかけた。なんともあたたかい言葉だ。保護主さんもたいそう喜んでくれた。
3ヶ月がかりで散歩上手
チャチャを迎えるにあたって、自由に過ごしていたチャチャを家の中に入れることが本当に幸せなのか?と、Rmeさんは何日も悩んだという。
「外で暮らしていた子の自由を奪うのが一番辛くて。とにかく葛藤でした」
なるべく前と環境が変わらないようにしてあげたかった。家に入れるからには、絶対に幸せにするという気持ちは、これまでも、この先も変わらない。
そうして、チャチャの散歩生活がはじまったのだが、最初からうまくいったわけではなかった。はじめてハーネスを付けたときには、一歩も歩けなかったチャチャ。そこで気長に練習することに。家のまわりから、少しずつにおいを覚えさせた。万が一、脱走した場合にも家に帰ってこられるように、という意図もあった。
ハーネスに慣れて、普通に散歩できるようになってからが、また大変。アクシデントがあってはならないからだ。チャチャが思いがけない方向に行ってしまわぬよう、呼吸を合わせることに集中した。
「猫の行きたいところに無理なく付き合って歩くのが、すごく難しかったです」
うまく散歩できるようになるまで、3ヶ月ぐらいは神経を使ったとのこと。
飼い主さんと一緒に散歩できるというのは、幸せなことに思えるが、Rmeさんはこう言う。
「私は、猫は室内で飼うのがいいと思うんです。チャチャは元野良猫だったから散歩に行くだけで、外の世界を知らなければ完全室内飼いでよいと思います」
たしかに、安全な散歩に至るまでには、Rmeさんの並々ならぬ努力があった。迷子などの危険性を考えると、安易に外に出すのはリスクが大きい。
元ボス猫は甘えん坊
Rmeさんは元トリマーだ。トリマー時代には、さまざまな性格の猫を扱ってきた。町の猫たちを追いかけていたという元ボス猫のチャチャを家に入れたら、さぞ暴れるのではと覚悟したそうだが、「イメージと違って、ぜんぜんいたずらをしなかったんです」と拍子抜けの様子。
家族の一員としてかわいがられ、どんどん家に馴染んでいったチャチャ。早朝に起こしにきたり、仕事から帰宅すると抱っこをせがんで甘えるようになり、Rmeさんをメロメロにした。
YouTubeは、チャチャが来る前から開設していたというRmeさん。
「たまたまチャチャを撮ったらすごく反響があったんです。チャチャを見たいというコメントをいただいて、皆さんの声に応えたいと思っていたらこんなことに」
元野良猫チャチャのYouTubeは、チャチャを迎える準備として、こたつを掃除する動画から始まる。こたつを約束したからには、有言実行だ。
「でも、チャチャはこたつ布団の上に乗るだけで、こたつの中には入らないんですよ。暑いのは苦手みたいで」
猫あるあるなオチまでもおもしろい、自由でマイペースなチャチャだった。
YouTube:元野良猫チャチャとRme
Twitter:@R_me_happylife
Instagram:r_me_happylife