民家すれすれを走る江ノ電、キラキラ輝く七里ヶ浜海岸の海を車窓から眺め、気分は鎌倉物語。今日は腰越駅で下車。小さな踏切を渡って、急な階段を上ったところに義経・弁慶ゆかりの寺「満福寺」がありました。
かつて、源義経と共に忠臣・弁慶が滞在し、兄の頼朝との和解のために腰越状という手紙をしたためたお寺です。
弁慶といえば怪力無双の豪傑なイメージですが、ここにはとってもチャーミングな「べんけい」がいるんです。女の子ですよ! べんけいはお寺の屋根裏で生まれ、やんちゃな子猫だったので男の子だと思って名付けられてのびのび育ちました。「岩合光昭の世界ネコ歩き 鎌倉」に出演後は、以前にも増してべんけいのファンが多く訪れるようになったといいます。
べんけいは、仲良しでいつも一緒の五十嵐智峻さんに寺務所でもべったり。聞けば、お寺には、シャイで人見知りな「しらす」(べんけいの妹)、縁あってご住職の知人から譲り受けた兄弟猫の「ぷくたろう」と「むぎ」も一緒に暮らしているとのこと。むぎは近所のお宅に遊びに行ったきりなかなか帰って来ないので、逃亡しないように抱っこで会わせてもらいました。そして、本堂を守るかのように凛々しいぷくたろう、ふたりとも大きいなあ!
べんけいは境内を自在にパトロールして、心地いい場所でコロン。鐘楼の下でブラッシングサービスをしてもらってウットリ……可愛い仕草に目が離せません。
奈良時代、関東に悪い病気が流行していた時、聖武天皇にその病気を排除するよう命ぜられた仏僧・行基が鎌倉を訪れ、広がる海原と山並みがとても美しいこの場所で祈りをささげると、不思議に病気がおさまり、その功徳をたたえてここに寺を建てることにしたといわれています。
べんけいと一緒に祈りたくなる、癒しの満福寺でした。
満福寺
神奈川県鎌倉市腰越2-4-8
TEL 0467-31-3612
http://www.manpuku-ji.net
芳澤 ルミ子
カメラマン。1972年生まれ。独学で写真を学び猫撮影を中心に活躍。猫の自然な姿と個性を捉えた写真を得意とする。著書に『ネコの裏側』(辰巳出版)、『にゃんたま』『開運酒場』(自由国民社)。