ちょっとなさけない身なりの白猫が小さな神社にコソコソやってきた。
当時、神社は屈強なボス猫がまるで結界を敷いているかの如くにガチガチに守られていた。
そのボスの留守を狙っての侵攻。セコイ。
木の上に登り高々と自分の王国樹立を宣言する。
当然、ボスが帰ってくる。即座に喧嘩に発展する。屈強なボスに対してコソコソやってる白猫。勝敗は火を見るより明らかだ。
日本では「三日天下」と言われるが、英語では"King for a day"つまり一日天下…。
一日かからずボス猫が神社を取り戻すだろう。そう思われた。
しかし意外や意外、ボス猫の攻め手をヌルりヌルりとかわしていく白猫。膠着状態が続いた。白猫、健闘しているじゃないか、と苦笑した時。
そういえばボス猫に喧嘩を売る猫、毛色がほとんど白色系である事に気づいた。白猫はこの神社の神の化身で、これはテストではないのか。
神である白猫にとってはまさに自分の庭。なんでも知っている。当然、守りの穴も…。
そうやってボス猫を試している、神社の守護主としてふさわしいかどうか。白猫大健闘の理由が見えた気がした。
闘いが天下分け目の関ヶ原に達しようとした時、白猫は突然姿を消した。ボス猫は勝ったのだが、どこか困惑気味だ。おそらくテストに合格したのだろう。もういいよ、と。
テストの点数は何点だったんだろう。それは神のみぞ知る。
さあボス猫、自己採点だね。
PHOTO&TEXT/KENTA YOKOO