「眼力」
公園のすぐ近くに高齢の白猫が住んでいる。
通称、ヨーダばあちゃん。
映画「スターウォーズ」の登場人物(男性)から名付けられた。
ばあちゃんだからメスなのだが…。
ヨーダばあちゃんの眼力は半端ない。同居するノリトモという猫は随分な悪戯好きだがヨーダばあちゃんには頭が上がらない。
その眼で睨まれると猫も人間も委縮してしまう。
おばあちゃんだから行動範囲は広くない。公園にやってきて日向ぼっこするぐらいだ。
ウトウトしてる時は眼力は封印されるのだが…伊達に歳はとっていない、どこか瞑想してるように見える。
その目でいろんなものを見てきた。
きっと良いことも悪いことも。
なにもかも悟っているかのような眼。
僕はその眼が好きだ。
公園だから子供が多い。猫は子供嫌いだがヨーダばあちゃんの歳になると動じない。
「猫ちゃんだ!猫ちゃんだ!」
昼寝していたところを子供に乱暴に触られる。ばあちゃんは目を瞑り触られるがまま。
まるで孫の面倒を見てるようだ。
そして眼を開け、子供を優しく見つめる。
しかし…。
「この猫ちゃん、怖い~!」
と言われ逃げられてしまう。
あの時のヨーダばあちゃんは少し、いや、かなり傷ついた顔をしていた…。
今日もヨーダばあちゃんはその眼力で世の中を見渡している。
text&photo/Kenta Yokoo