完全室内飼いでどんなに元気な猫でも、年に1度は健康診断とワクチン接種を行うことが、病気の早期発見と健康維持には欠かません。
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健康診断の主な内容
問診 ● 飼い主しか知らない普段の様子や日常生活の異変が診断材料の1 つになる。
体重測定 ● 過去の測定からの推移で大幅な増減がないか確認する。
身体検査 ● 体のどこかに異常がないか触診や聴診でくまなくチェックする。
血液検査 ● 血液を採取してホルモンや内臓の異常、感染症の有無などをチェックする。
尿・便検査 ● 膀胱炎や腎不全は尿検査、寄生虫感染や腸内細菌などは便検査で確認。
レントゲン検査 ● 触診では分からない臓器や骨格の異常を検査する。
心電図検査 ● 不整脈や心肥大などの疑いを心臓の動きを電気信号で確認してチェック。
超音波検査 ● レントゲンで判断が難しい臓器の状態や腫瘍の有無などを確認。
室内飼いでも油断大敵
健康でも、年に1度は健康診断を受けておくことが病気の早期発見や予防につながり、健康維持のためには欠かせません。
健康で若い猫の場合は1年に1回を目安に、8歳を過ぎたシニア猫や過去に治療歴のある猫、現在治療中の猫は獣医師と相談しながら定期的に診断を受けておく
とよいでしょう。
ワクチンで防げる病気(左頁)もあるので、毎年ワクチン接種することも大切。健康診断時、または猫の誕生月などに合わせて行うと忘れにくいでしょう。
完全室内飼いの場合でも、万が一の脱走で感染してしまうケースや飼い主が外から病原体を持ち帰って猫に感染してしまうケースなどもあるので油断は大敵です。
ワクチンで防げる病気
ワクチンは、接種することで伝染病に対する免疫を人工的に付けることが目的。抵抗力を付けることで、感染しても発病を未然に防ぐ、または万が一発病
した場合でも重症化を防ぐことができる。
現在最も一般的に接種されているのは「猫ウイルス性鼻気管炎/猫カリシウイルス感染症/猫汎白血球減少症」の3種類がひとまとめになった3 種混合ワクチン。
それに「猫白血病ウイルス感染症/猫クラミジア感染症」を追加した5 種混合ワクチン、単独で「猫免疫不全ウイルス感染症」ワクチンなどもあり、選択は獣医師と相談するとよい。
猫ウイルス性鼻気管炎
感染した猫のくしゃみなどから飛沫感染する。発熱・くしゃみ・鼻水・目ヤニなどの症状で、子猫や老猫は死に至ることも。
猫カリシウイルス感染症
初期症状は猫ウイルス性鼻気管炎と類似している。口内炎や舌炎ができ、放置すると肺炎から死に至ることも。
猫汎白血球減少症
別名・猫伝染性腸炎。感染した猫の排泄物などから感染する。高熱や激しい下痢、白血球の急激な減少など。特に子猫は致死率が高い。
猫白血病ウイルス感染症
唾液や血液感染、もしくは母子感染。白血病やリンパ腫、免疫不全などを起こし、発病すると回復しない。
猫クラミジア感染症
「クラミジア」という病原体が目や鼻から入り感染する。結膜炎・くしゃみ・鼻水・口内炎・舌炎など、粘膜に炎症を起こす。
猫免疫不全ウイルス感染症
猫エイズ。主に喧嘩などの血液感染や母子感染。免疫機能の低下で口内炎や鼻炎などさまざまな慢性症状や悪性腫瘍にかかりやすくなる。
子猫のワクチン接種はなぜ2回?
母乳を飲んで育った子猫は、病気の抗体を母猫からもらっているが(移行抗体)、その効果は生後2~3 ヶ月で切れてしまうので、その頃を見計らって最初のワクチンを打つ。その1ヶ月後に再度接種すれば、より確実に免疫を付けることができるため。
監修:南部美香
文:高橋美樹 イラスト:おかやまたかとし