物心ついたときから、私の傍らにはいつも猫がいました。 人見知りなくせに、ほっつき歩きが好きで、猫とはすぐに仲良くなれる少女でした。 ずいぶん昔におとなになってからも。 フリーライターという仕事を始めて、いろいろな町々を訪ねることが多くなり、取材後に、その町の商店街や路地裏や漁港などをうろつき、いろいろな猫と出会うのが楽しみになりました。いつしか自己流で写真も撮り始めました。 猫と遊んでいると、近くにいる地元の人が声をかけてくるのです。 「よっぽど猫が好きなんだねえ。その猫はあんまりなつかない子なんだけど」 ...