この世界の片隅で、ネコ。EP:84「大使館員」

「えへへ~なにやってるの~ボクもまぜてよ~」

とでも言ってるのか、いつもニコニコしながら近付いてくる猫、その名もブクブク(以下ブク)。

商店街の真ん中にある安くて新鮮な野菜を売る八百屋さんの近くにいる。ブクの寝床は本来、一本違う通りの別の青果店さんなのだが…。

通りが違えば猫の勢力もライバル同士になるのだが、そんな事おかまいなし。えへへ~と言いながらそれぞれをヌルリヌルリと行き交う。猫たちもブクは例外扱い。

当然、ブクはそれぞれの勢力に知り合いができる。小競り合いがあってもブクが

「えへへ~なにやってるの~ボクもまぜてよ~」

とやって来ると気勢を削がれるだろう。いってみれば国同士の大使、平和に寄与している。

ちなみに件の八百屋さんと青果店さんはライバルになる訳なのだが関係は良好だ。ブクという共通の話題があるからだろうか、あのニコニコ外交が商店街を平和にしている。

でも、ちょっと穿った見方をすると…。

わざわざライバルの通りに出入りするブクはスパイなのかもしれないかも。もしかしたらニコニコしてるのも本当は演技…なわけないか。あいつ天然だもの。

「えへへ~なんだかわからないけどたのしいな~」

商店街の端っこで寝転がるブク。買い物客が笑いながら通る。平和な光景だ。

TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO

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