【長野】シェルター、不妊手術、そして猫カフェで保護猫を譲渡へ

竹内さんがシェルター部屋に入ると、子猫も親猫もすぐに近づいてきて、我先にと甘える

長野県の南松本駅から徒歩10分強。保護猫譲渡型「ねこカフェもふもふ」はビルの2階にある。階段の途中には歴代の「卒猫」たちの写真がずらりと貼られていて、入店前からその数の多さに圧倒される。どの猫も人の愛情を注がれたせいだろうか、穏やかな顔をしている。

ふれあいコーナーは譲渡希望者だけではなく、猫が飼えないけれど猫とふれあいたい方などもOK。
いろいろな個性をもった猫たちのいる空間を満喫したい

一般社団法人もふもふ堂が運営する「ねこカフェもふもふ」は、2014年に162頭の一斉TNR(外猫の不妊手術)実施をきっかけに、猫の居場所とボランティアの情報共有の場として作られた施設だ。活動自体はさらに歴史を遡る。

1997年頃から個人ボランティアによる地域猫活動が行われ、2006年には「こねこの会」となって譲渡猫の100%不妊手術を実施。保健所に持ち込まれる猫は年々減少し、「ねこカフェもふもふ」オープンによって居場所が確保されると、松本保健所に収容された猫をすべて引き取ることができるようになった。現在、引き取り数は年間120頭にも及ぶ。

「保護した猫のうち常時約15頭は、カフェのふれあいコーナーで新しい家族との出会いを待っています」と、動物取扱責任者の竹内満美子さん。広い窓からたっぷり降り注ぐ日光を浴びて、猫たちはそれぞれくつろいでいる。

コロナ以降、飲食の提供は休止中だが、猫グッズ販売コーナーからはアクリル越しに猫たちが眺められる。もちろん中に入って猫と交流することもできる。

人なつっこいコも臆病なコもいて、それぞれに魅力的

「うちは入室者の年齢制限を設けていないんです。もしも猫の嫌がることをしたら注意させていただきますが、幼い頃からの猫とのふれあいによって、猫と人の共生社会を学んでもらうことが大切だと考えるからです」

動物愛護の意識は高まってきているが、まだまだ古く悪しき考え方も残る中、子どもへの教育的観点を重視しているのだ。「不妊手術の必要性も、ぜひきちんと理解してほしいですね」。

近くの動物関連学校の生徒さんたちも、授業の一環でお世話をしてくれる

カフェのある建物は元ビジネスホテルだそうで、全体で保護猫のケアを行っている。4階では獣医師に出張してもらって不妊手術を実施。3階は保護した猫のシェルターに活用。

ホテルの個室の間取りを生かし、年齢や相性、病気などを考慮したグループごとに、全部で50頭ほどの猫たちが暮らせる広さがある。

保護猫が安心して快適に過ごせるために。猫が幸せに生涯を全うできる社会の実現のために。この場所で延べ約30名のボランティアが尽力する。地道に続けてきた活動が成果をみせ、松本保健所管内の、自然死以外の殺処分ゼロも達成できた。

譲渡され卒業していった猫たち。みんな幸せに暮らしていることだろう

「とはいえ、まだまだ課題はたくさんあります。最近は高齢者などの多頭飼育崩壊や、ブリーダー廃業による遺棄も、大きな問題になっています」。問題解決には資金が必要で、カフェ運営や猫グッズ販売のほか、フリマコーナーなども設けて努力しているが、資金不足は否めない。「今年もチャリティーカレンダーを発売していますので、ぜひご支援をお願いします」。

保護猫のために、私たちにできる支援を考えたい。

2024チャリティーカレンダー卒業した猫たちのイラストが素敵な卓上カレンダー。猫や犬の写真が掲載された壁掛けタイプもある。両方とも1,000円(税込)。カレンダーの売上は猫たちの医療費や餌代・砂代に使われる。ネットショップからも購入可能。

▼購入はこちらから
https://mofumofudou.thebase.in

保護猫譲渡型ねこカフェもふもふ
長野県松本市双葉24-13
TEL 0263-28-7299
営業時間:11:00~17:00(ふれあいコーナー
最終入店は16:00。1時間1,000円)
定休日:火曜
https://www.mofumofudou.com

(文・写真 鈴木美紀)

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