もし猫になったら、やってみたいことがある。
屋根の上でおもいっきり昼寝してみたいのだ。屋根で寝ている猫を見ていると「気持ちよさそうだなぁ」と思う。そして思わず「平和だなぁ」と顔が綻ぶ。
そのなかでも瓦屋根なら最高の寝床になるだろう。内に向かって反っているので、そこに猫がとても具合よく収まる。
見事としかいいようがない。
そして冬の瓦はあったかい。お日様の熱をたっぷり蓄えているのだから。素晴らしい昼寝が出来そうだ。
日向とともに移動する猫の姿は見ていて微笑ましい。あれ、猫はたぶん無意識で動いているように思える。よく落ちないなとハラハラしてしまう。
猫にとって屋根は安全圏でもある。人間も犬も車もこないので、ウトウトするのには好都合だ。7匹もの猫が屋根上に犇めいていたのを見た事がある。宴会でも始めそうな雰囲気で、ちょっとビックリした。屋根上は猫の独壇場だ。
あ、もちろん夏の屋根は辞退申し上げたい…。
しかし最近、そんな光景をあまり見かけなくなった。特に日本瓦の屋根は貴重になってしまった。マンションが増え一戸建ての屋根も洋式になってきたからだ。
それを"風情がなくなった"とは絶対に言いたくない。個々の家庭が選択した最良の結果なのだから誰にも文句は言えない。
個人的な事を言えば、僕の住む熊本では大きな地震の後、ほとんどの家が洋式で再建されたように感じる。それがベストな選択なのだろう、きっと
だから屋根の上で猫が昼寝していたら今のうちにしっかり目に焼き付けておきたい、心に刻みたい。
猫が屋根で昼寝している間はきっと平和だ。
そう、ホンモノの平和の使者、それは猫。鳩なんか目じゃない。
TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO