ネコは身近な動物で、ヒトの社会の中で暮らしています。そのため野生動物とは異なり周囲の環境も含め、ヒトがいてネコは生きていけると思うのです。ヒトとヒトの間に繋がるいのち。今を生きる友達として向き合いながら、街の中にネコのいる風景が時代は変わってもあり続けてほしいと願うばかりです。
写真・文・イラスト平井佑之介
▲“よつこ”は益々大胆に寝るようになった
記念すべき「ネコのとなりに」第一回に登場した地域のアイドル〝よつこ〞は、長年外で暮らしていたが、3ヶ月前になんとネコボランティアさんの家に迎えられた。
「6年前に虹の橋を渡ったネコを最後にしようと決めていたのに」とネコボランティアさんは笑う。出逢いを聞くと、13年ほど前になるらしい。柿の木に登っていたり、ボーイフレンドと一緒にいたこともあったとか。13年という月日の中で、学校帰りに様子を見に来ていた小学生はそろそろ高校生に、〝よつこ〞と鼻を合わせていたイヌは散歩するのが少し大変に、そして〝よつこ〞は推定15歳のおばあちゃんネコになった。
▲生まれつき 片目の”よつこ”。遊んでもらうのが嬉しい様子。 まるでジャンケンしているようだ
ここ数年の〝よつこ〞は季節の変わり目に体調を崩すことが増えたため、よく抱っこして一緒に時間を過ごしたそう。体調面の不安も〝よつこ〞を迎えた理由のひとつだ。
「1ヶ月ほど姿が見えなくなったこともあったの。ちょうど真夏の時期で暑かったから、どこかのお宅にお邪魔していたのではないかと思うんだけど。きっとこの子はいろんなヒトに可愛がられていたのよ」と教えてくれた。
家に迎えられた当日、〝よつこ〞は家の隅々まで見て回り、確認し終えると満足したかのようにクローゼットの中に入って座ったそうだ。最近は玄関からヒトが出入りすることを理解してきたようで、ヒトが支度をしていると玄関のほうへ様子を見に来るんだとか。
▲家の中をパトロール
ヒトに寄り添って眠り、名前を呼ばれると素直に歩いてくる。ヒトのそばで話を聞いているように座り、〝よつこ〟の話題から違う話になるとどこかに行ってしまう。この光景は出逢った頃と変わらない。住む場所が変わっただけで、〝よつこ〟は〝よつこ〟のままだった。
▲懐かしいネコのアルバムを開くと乗っかる、ネコハラスメント
そういえば〝よつこ〟は外暮らしの終わり頃、ゴハンをもらったあと急に水を飲み、歌うように大きな声で「あおーん、あおーん」と鳴くようになった。「水飲んだよ」と言っているようで「えらい、えらい」と言葉をかけていた。
家に迎えられ、「トイレが終わったよ」と鳴いた〝よつこ〟の声は、外猫時代よりも心なしか小さくまあるくなったような気がした。
▲川に降りて水を飲んだ後には、“よつこ”の鳴く声が響く
▲いつまでも抱っこされたがる“よつこ”
Hirai Yunosuke
いきもの写真家。1988年生まれ。日経ナショナルジオグラフィック写真賞2015優秀賞。島や商店街で暮らす猫から、イルカやヘラジカなどの野生動物も撮影。『Nikon D800 ネコの撮り方』電子書籍出版。
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