僕の好きなシチエ―ションがある。それは猫と人が触れ合っている時だ。ある時はじゃれ合い、ある時は引っ掻き回され、そして一緒に眠る。 ああ、いいなあ、と思う瞬間だ。猫と人の関係。 そのなかでも特に思い出すシチエ―ションがあった。 坂道の手前に気の荒い猫がいた。(なぜ知っているかって?実際に引っ掻かれたからです…) ある日、白杖を持った目の不自由な方が介添え人と一緒にその猫を撫でていた。引っ掻かないか心配だ…。 その方の猫を撫でる手つきはたどたどしくも、まるで宝物を扱うように大事に大事に撫でていた。 その猫はじ ...