この世界の片隅で、ネコ。EP:91「首輪物語」

赤、青、黒、鈴つき、鈴なし…、猫の首輪にはたくさんの種類がある。

黒猫に赤い首輪の組み合わせが個人的に好みだ。あ、白猫に黒い首輪もいいかな…。

そんな風に人それぞれ、猫それぞれ(?)、首輪にはなんだか個性が表れる。

とあるデザイナーさんが飼ってらっしゃる猫、グリちゃんはとても、いや、とてつもなく大きな体をゆすって歩く巨猫。ほぼ同い歳のワンちゃんと一緒に育った猫で性格は狂暴、まるで土佐犬ならぬ土佐猫だ。

こう書くとワンちゃんも狂暴な性格なのかと思われるが、優しくてとても穏やかな性格だ。なぜグリちゃんが狂暴になったのかは不明だ。寝ている時はとても大人しくてカワイイんだけど…あたりまえか。

そんなグリちゃんの首輪はなんと犬用の首輪なのだ。鋲が打ってあり、いかにも「俺さまは強いんだ」とアピール。そして実際に強い。
「名は体を表す」という言葉があるが「首輪は体を表す」という言葉に置き換えてもおかしくないグリちゃんなのだ。

こちらのシロは飼い主さんから赤い首輪をつけて貰っていた。本人は特に嫌がる素振りは見せていなかったそうだ。

が、しかし。

サイズが合わなかったのか、だんだん首輪がブカブカになって…まるで猿ぐつわのように口に挟まってしまうのだ。そうなると当然、外そうと足掻くのだが状況はますます悪化。

「見てないで外すの手伝ってくれよう」

そんな風に視線で訴えられるので毎回、手伝っていた。自力でも外せるのだけど。

勿論、飼い主さんは丁度いい具合に首輪を調整するのだが…不思議な事にまた、ブカブカになってしまう。

結局、首輪はつけてもらった日から数日でゴミ箱へ…。それ以来、首輪をしなくなったのは言うまでもない。

シロはもうだいぶ前に虹の橋を渡ってしまったが、首輪の事を思い出すといまでも少し可笑しくてなぜか少し哀しい。

こんな風に首輪をしている猫には首輪の数だけ物語があるのかもしれない。

TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO

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