【港区白金】猫の“氏子”が静かに暮らす、白金氷川神社

ヒゲ模様の男爵は、さすが男のコ、キリッとかっこいい姿

 

東京都港区白金。都内でも有数のおしゃれ高級住宅街だ。近代的な高層マンションが林立する中、ぽっかりと残る静かな森に、白金氷川神社が鎮座する。

ハチワレのハチ。お賽銭の管理もしてくれる?

「新築のタワーマンションに引っ越してきた方も多いのですが、古くからお住まいの方々もたくさんいらっしゃって、この地域の氏神様として親しまれているのが、ここ、白金氷川神社なんです」

と、参拝が日課だというご近所さんが教えてくれた。

その後にやってきたのがTさんとそのお仲間。神社のすぐそばに住んでいて、年間700回以上も訪れるそうだ。神社の参拝はもちろん、朝夕、ここで暮らす猫たちにゴハンをあげるために通っているのである。

おてんばツーちゃん。神社の森を元気に駆ける

 

「今、白金氷川神社には5匹の猫が暮らしています。長老のコジコジ、キジトラのチビちゃん、ハチワレのハチ、白黒のツーちゃんの4匹は女のコで、唯一の男子が男爵という名前の猫です」

雨の日も嵐の日も欠かさず、ほぼ決まった時間に通ってくるTさんたちのことを、猫たちもちゃんとわかっていて顔を見せる。

「特にチビと男爵が人なつっこくて、私たちが神社の入り口の石段のところまで来ると出迎えに来てくれ、一緒にお参りしたり
するんですよ。ゴハンの後は、お見送りもしてくれます」

コジコジは長老なのでダンボールハウスで寝ていることも多いが、宮司さんが大好きで、見つけるとスリスリしに駆け寄る

 

ここで暮らす猫たちは、裏山に緑をたたえた静かな境内という環境に惹かれてか、いつの間にか近くから集まってきたのだという。

もともとは犬派だった宮司さんご夫妻が命を慈しみ、猫好きの氏子さんたちも世話をするようになり、やがて神社の地域猫としてご近所さんの有志が自発的に猫の面倒をみるようになった。

宮司さんは「ご近所のみなさんが熱心にお世話してくださって」と言い、Tさんはじめご近所さんは「猫たちは宮司さんご夫妻を心から信頼していて大好きなんです」と言う。

温和なキジのチビちゃん。Tさんにはナデナデもブラッシングもさせてくれる

 

猫が描かれた月替わりの御朱印をはじめ、幸せを呼ぶ猫守りも人気。猫の形の絵馬も奉納できる

 

猫のための団体が組織されているわけではない。誰がリーダーというわけでもない。猫を愛する人たちが自然発生的に集まって、神社の森で暮らす猫の命を護っている姿が素敵だ。

「猫がお目当てで訪れる参拝客も増えましたが、いつも猫たちに会えるとは限らないので悪しからず。運よく会えたら、静かに見守ってくださいね。お子様はどうぞ、追い回したり、キャットフード以外のものをあげたりしないように」

毛並みがきれいで、のびのびと穏やかな猫たち。愛され、大切にされていることがよくわかる。猫たちは人間とともに、ここ白金氷川神社の〝氏子〞として神様に護られているのだろう。
(文・写真鈴木美紀)

白金氷川神社は、素すさのおのみこと盞嗚尊・日やまとたけるのみこと本武尊・櫛くしいなだひめのみこと稲田姫尊の三神を祀っており、開運、厄除、身体健康、災禍消除、家内安全、商売繫盛、病気平癒、交通安全の御利益があるといわれる

 

白金氷川神社
東京都港区白金2-1-7
TEL 03-3441-8842
https://shirokanehikawa.jp

Suzuki Miki
フリーライター。現在は三代目の猫「まふぃん」にかしずく日々。著書に『現代にゃん語の基礎知識』『花のある風景』。小さなねこ図書館を開くのが夢。

-猫びより